6話
冒険者登録をしてから1週間、最近は安定はして宿代を稼いで、その日暮らしが出来る程度のお金と貯金が出来くらいは稼いで暮らせている。
お金の方も少しずつだが貯まって1週間分の宿代は貯まったこともあり、俺は初めて冒険者ギルドの講習を受けることにした。
孤児院で元冒険者から採取や解体などのある程度の冒険者としての活動の仕方や戦い方は教わっている。
今日の講習では戦闘に関することを教わることになるのだが、そこで対モンスターの格闘術が習えないか体験する予定だ。
朝の早い時間帯の冒険者ギルドにはもう冒険者が依頼の書類があるボード前にいるのが見える中で受付に向かう。
「おはようございます。今日の講習って受けられますか?」
「講習ですか?受けられますよ。何を教わるかをこれに書いてください。」
「はい。」
書類を確認する。名前を書く欄があり、そこに名前を書いて、名前を書く欄の隣にどの講習を受けたいのかを書く欄に格闘術と書いた。
「書けました。」
「はい。確認しますね……問題ありません。格闘術でしたら、午前9時からですね。問題ありませんか?」
「9時ですか、問題ありません。」
冒険者ギルドの中にある大きな時計を確認すれば今の時間は6時34分だ。
時間としてはまだある。時間を潰す為にも冒険者ギルドの資料室にでも行ってみようと思う。
受付から離れて資料室に向かうことにした。冒険者ギルドの2階に資料室はあり、階段を登って少し歩いて資料室の中に入る。
「おはようございます。資料は好きに見てもいいんですか?」
「おはようございます。問題ないですよ。ですが、汚したり破いたりはしないでくださいね。」
「分かりました。」
紙の匂いがする資料室の中で俺はこの街の周辺に現れるモンスターや採取可能な植物系素材の情報を確認することにした。
資料を読んでいく。そこに書かれていたのは孤児院で元冒険者から教わった内容とそこまで変わらない内容だった。
あの冒険者も元はこの街で活動していた冒険者だったからこそ、この読んでいる資料と変わらないくらいの情報を教えてくれたのだろう。
事前に教わった内容ばかりだったのでこの街から一番近い位置にある防衛都市の近くの魔境に関する情報がないかを調べていた途中で時間がきた。
資料室にも時計はあり、その時計の針は8時54分を指していたこともあって俺は急いで資料を戻して1階に降りる。
受付に並んでいる冒険者は少ない。運が良かったと思いながら俺は並び、数分後に俺の順番がやってくる。
「すみません。講習をこの後受けるんですけど何処に向かえばいいですか?」
「講習ですか?それなら訓練所に向かってください。そこで講習の講師から名前を呼ばれるので、その後は講師の人から講習を受けてください。」
「そうなんですね。ありがとうございます。」
俺は受付を離れて冒険者ギルドの訓練所に向かった。
訓練所のある場所は冒険者になる時に教わっているので迷わずに到着する。
「よかった。」
まだ講師の人は来ていない様だ。
講師の人は時間丁度に来るのかも知れないと待っていると訓練所の入り口から人がやってきた。
「この場にシオンはいるか!」
「はい!います!」
講師の人の大きな声に俺の方もついつい声が大きくなってしまった。
「俺はアリシンだ。よろしくな。」
「よろしくお願いします。」
「格闘術は人気がないからな。今回はシオン、お前1人だ。まずはお前がどれだけ戦えるのかを見てから教えていくぞ。」
「はい。分かりました。」
アリシンと戦う前に外見は変えないで大鼠の因子を俺に混ぜて変異する。
大鼠の気配察知能力と学習能力の上昇が対人戦にも役に立ってくれるはずだ。
「それじゃあ行きます!」
「おぉ来い。」
真っ直ぐにアリシンに向かって距離を詰めていくと、俺はアリシンの太ももを狙って蹴りを繰り出す。
「おっと、危ねぇ。いきなり太ももを狙うなんてなぁ。」
今の攻撃で理解した。俺よりもアリシンの身体能力は高くないことを。
それでも俺の攻撃をアリシンが避けたのは経験の差などと思う。
俺はそこから拳を振るえば受け流され、蹴りを繰り出したら回避され、絶え間なく攻撃を連続で繰り出しても避けられるか受け流されてしまった。
「なかなかの身体能力だな。そういうスキルか?それにしても強化され過ぎだろ。」
「それでも一回もまともに攻撃が当たらないじゃないですか。アリシンさん。」
「はっはは、まあ流石に冒険者なりたての奴くらいなら問題ないさ。ここからは俺からも攻撃するから気を付けろよ。」
攻撃を回避か受け流しを行なうしかして来なかったアリシンから攻撃をして来ると警戒して構えを取る。
「おら!行くぞ!」
アリシンが俺に向かって接近して踏み込んで拳を振ってきた。
【無手剛体】で強化された身体能力は視力も強化される。
強化された視力でアリシンの動きはしっかりと見て取れ、これなら避けられると判断した通りに回避することが出来た。
回避することが出来たその時にアリシンの気配を感じ取った。
アリシンは振るった拳をそのまま空振りしながらその場で回転、そして回転した勢いそのままに回し蹴りを繰り出してきた。
「まずっ!……ぐッ!!??」
「はっはは!まず1回だ!!次、行くぞ!」
アリシンの回し蹴りを腕を交差して防御することが出来たが、すぐにアリシンは追撃の拳の連撃を行なってくる。
視力でしっかりとアリシンの動きを捉えているが、それでもアリシンの無駄のない動きに回避は間に合わず、連撃を受け流すか防御するしか出来ない。
しかも受け流すのに失敗することもあるくらいに鋭い連撃で体に痛みが走る。
「これで最後だ。しっかり防ぐか、避けるかしろよ。」
「わ、分かりました。」
アリシンの連撃を受け流した手や防げなかった体の痛みを感じながらもしっかりとアリシンの動きを観察する。
回避するか、それとも防ぐか。
どちらの動きも取れる様に警戒しているとアリシンが動き出した。
「はあっ!!!」
今までのアリシンが行なっていた動きを見て覚えたアリシンの攻撃速度の中で3倍は早い動きでアリシンは接近してきた。
目でアリシンの動きを追えるもこれは避けられないと判断した俺はアリシンが行なう攻撃がどの場所に向かうのかを予測して防御体勢を取った。




