0031:発覚の流れ
炊いたご飯に残っていた鶏肉とベジタブルミックス。
全てをフライパンで炒め、そこにケチャップを投入する。
出来上がった真っ赤になったご飯を別皿に移し、次いで卵をフライパンに割り入れる。
混ぜながら、同時にふんわりと焼き、ちょうどいい所でご飯の上に。
野菜の付け合せは無いが、代わりにコンソメスープを片手間に作り用意。
全てがちょうどいいタイミングで、それなりに大き目のオムライスが4つ出来上がった。
最後にケチャップを上にかけていく。
「できたよー!」
あやめのその一言で、全員がワッと動きだした。
呆れるほど有能な手際だぜ……
手伝いとしてリビングに持っていく。
それぐらいはやらせていただく。
「できらぁ!」
そこまで必死ではない。
一般家庭とは思えない二つ繋がった机に小皿と大皿。
調味料もほいほいと用意し、スープもやってくる。
昼としてはちょっと遅めの1時となったが、誰も文句はない。
全員そろったようなので、手を合わせて一同。
「「「「いただきます!」」」」
「召し上がれー!」
その言葉と共に、全員が全員大スプーンで切り分けていく。
そんな中で、タクトとドランの野郎コンビが固まったままポカンとしている。
「…何ぞ嫌いな物でもあったかね?」
「いや…こんな大量の卵が出てきて……」
「コレだけ大量の卵料理なんぞ始めて見たわ」
あぁそういう。
向こうの世界だと、当然の事ながら卵は高級品。
入手手段等の問題により、元より珍しい物。
更には高価で鮮度の問題もあり、早々手に入ることはない。
唯一食べれたタイミングは、村のお祭り等や誕生日に出た安物。
鮮度や何の卵かもわからないものだったと言う。
元貴族だったり、高位の神官だったりの人たちには食べ慣れた物。
だが野郎コンビにとっては、こんな贅沢な料理は初めてらしい。
なおその卵、一パック10個入り広告の品。
値段聞いたら飛び上がるぞ。
「遠慮するな、今までの分も食え」
「毒ガス訓練?」
ヤメロォ!
~~~
食事を終えると、全員が幸せそうな顔で満足していた。
チキンライスも卵もコンソメス-プも、更にはケチャップなんかの調味料も大絶賛でした。
あやめもその感想に終始ニコニコ。
完全に母親のそれ。
片付けも終え、のんびりタイム。
食後ではあるが、買い物等は明日に予定されているし、あんな事あったばかりで向こうに行くのもアレなので、皆が皆のんびりとし始める。
テレビ側ではゲーム機の準備を始めるイーリスと、それに付き合うタクト。
興味深そうにそれを眺めるシャルリア様。
お茶を入れてその光景を眺めるテクス氏。
机の上で満足そうに転がって眠ってる大福と、大福の上に乗って眠そうにしているテレーザ。
寝ると太るぞ。
「あまり物だったけどうまくいったわ…」
「卵に何か入れた?味が良かったんだけど…」
「チューブ状の中華系調味料があるじゃろ?」
「なる」
俺とあやめはキッチンで、今回の料理と今後の予定をあーだこうだ話し合う。
炊飯器も買い足さんと、いやそれ以前にもっと大きいフライパンが、冷蔵庫はどうすんべ、etc…
そこにのしのしと小さいおっさん。
…もといドランの姿。
「そういえば聞きたいんじゃが」
「なんぞね?」
「冷蔵庫の上のほうにあった奴は何なんじゃ?」
ヤッベ。
「…アレは栄養剤じゃけぇ」
「ムスビ、って言った方がいい?」
言わないでお願い。
俺とテクス氏の数少ない娯楽なの。
全部飲まれたくないの。
ただ栄養剤と聞いてドランもニマッと笑う。
「ほぉ、ならワシもその栄養剤とやらがほしいの!」
「いやほら…アレは俺とテクス氏の栄養剤だから……」
「そうじゃな、ワシの栄養剤も酒だしのぉ。
…見えとったんじゃ、びーるとか言う名前の酒だって」
パッケージこの野郎ォ!
現代企業の細々としたサービス精神この野郎ォォォォッ!
「いやそのな」
「なんじゃい」
「えっとな……」
「おう」
視線をそらし、あやめを見る。
「アレはただの栄養剤じゃけぇ!」
「ムスビ嘘をつけッ!」
今度こそそう返された。
~~~
「だってテクス氏がああ言ったんだもん…」
「流石に責任転嫁はどうかと思う」
いきなりの責任転嫁に困惑するあやめの目に小さくなる。
そのままキッチンで自ら正座をする俺であった。
「全く…ワシゃぁ今みたいな利己的な嘘ってのが大嫌いなんじゃ」
「本当に申し訳無いです……
でも酒の為なら戦争もするとか聞いたら飲み干されると思って…」
「異世界の酒でも勝手に飲み干すほど落ちぶれとらんわぃ!」
怒鳴られて更に小さくなる俺。
あぁ皆もキッチンの影から何事かと覗かないで!
「…ただし、ワシにも酒を買うというなら許す!」
「それが目的だったのでは? あやめはいぶかしんだ」
グワーッ!財布の中身が爆発四散!
…なんてさせるか。
「購入には金額指定させていただく」
「ほぉ?」
「500の大缶ならどれだけ飲めそうですか!」
「10は行けるな!」
oh……
「…一日1000円未満で……」
「その1000円ってのは…どれ位の価値なんじゃ?」
あっそういや為替とか考えてねがった。
500缶 × 10本 = 5リットル




