0030:死守の構え
全ては終わり、シャルリア様もテレーザも正しく向き合うことになった。
コレでもう神託だ神だの話は無くなった。
世間の目と言う、外見の問題も解決し俺達もホッと一息。
そのままテレーザの自己紹介と自分達の紹介へと移り変わる。
人の意識や内面を見通すことが出来る妖精であるのもあり、サクサクと進んでいく。
というより、ここに居るメンツが綺麗な連中ばかりなので、信頼関係は本当に簡単に結んでいく事になる。
一人、また一人と紹介を終えて行き、ついに自分の番。
紹介の段階となり、再度向き合いニカッと笑う。
大丈夫、おふざけはするけど悪人でも変態でもないから!
それが伝わったのか、おずおずとだが手を差し伸べてくれた。
俺は指と、彼女は手とで握手をする。
小さい相手というのが困惑するが、問題ない。
でも握手しながら内面を見られるなんて、頭がフットーしそうだよおっっ!
即座に逃げられあやめにべこんぼこんにされた。
こんな き゛ゃく゛に まし゛になっちゃって と゛ーするの。
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顔中痣まみれや!
なんて思いつつまもなく昼食の時間。
とは言え料理しなければ食事は無い訳で。
その為にテクス氏とあやめと共にキッチンへと向かう。
対する子供連中とシャルリア様、そしてついでにドワーフと妖精もテレビに向かった、せめて働けと。
まぁ別にいいけどさ。
テレーザの分が増えると思ったが、彼女曰くそれ程食べられないとの事。
前回来て食べた時は、小さめのから揚げ一個程度で一杯だったそうで。
道理であの時から揚げが一個消えた訳だ。
まぁ物理的に小さいし、そう入る訳ねーわな。
ちっこいし、そらそうやな!
どこがとは言わんが!言わんが!
そう思いつつ、テレーザに後頭部をぺちぺち叩かれつつ思考を続ける。
サッサとエプロンをつけたあやめは土鍋と炊飯器を弄り米を用意。
…ただ、ご飯は土鍋があるからいいとして、問題はオカズ。
テクス氏と共にがちゃりと冷蔵庫を開け、中を確認する。
冷気がフワリと顔を撫で、それを受けたテレーザは姿を消した。
「…肉も少しで野菜もほとんどねーなぁ……」
「買いに行かないので?」
「まず手持ちの金がね…その後でとなると、料理時間込みだと…後数時間ずれ込むな」
「でしたら前に買った白身魚では…」
「この量だと一人一切れだし…全然足りんでしょ?」
「ぬぅ……」
上を閉じ、そのまま下の冷凍庫を開ける。
ある物といったら冷凍餃子の袋だが……
「餃子…餃子は夜かなぁ……」
「さよなら天さん…」
餃子だっつってんだろ米研いでろ。
さらっと会話に混じんな。
「…何故夜なのか聞いても?」
「いや、餃子は米にも合うけど、やっぱりアレに合うのよ」
「…アレ?」
「御ビール様に」
チューハイ派な俺でも、コイツにはビールが欲しくなってくる。
熱々の餃子にキンキンに冷えたビール。
醤油をつけて口に放り込み、味わいながらそこにビールを流し込む。
…思い出しただけで胃にクるな。
「…昼でいいのでは?」
「昼間から飲むってのもどーなのよ?」
「…言われてみれば」
「なら落ち着いて夜に、って事ですわ」
そう言って冷凍庫をベシンと閉じた。
あやめに向き直ると、米の準備は終え何を作るか悩んでいた。
そういや調味料や卵はあるんだよな……
「はい!」
「はい悠馬君」
「卵あるんでオムレツはどうでしょ!」
「んー…ならご飯炊いてるし、チキンライスにしてオムライスにしよう」
「あ、夜は餃子で」
「さよなら天さん…」
二回も自爆せんでええがな。
あぁ餃子の晩酌が待ち遠しい。
テクス氏も味を想像しているのか、ゴクリと唾を飲み込んだ。
こりゃ後で宝石作って、換金して夜用に酒追加購入……
いや追加購入は止めておこう。
「…ビール一本だけでいいから頂戴」
「それぐらい買ってくればいいのでは…?」
「いや、酒に反応しそうな輩がいるでしょ?」
「今酒と言わんかったか!」
「いえ別に」
「そうか……」
酒って単語に真っ先に反応しよったぞあのドワーフ。
テレビ見てた筈なのになんちゅう耳してるのかと。
「…ドワーフって…やっぱりアレ好きなの?」
「個人差はあるそうですが、苦手な者も水同然に飲んでいた、と聞いてます」
「苦手で水同然…?」
「…噂ですが、一本のヴィンテージの為に村同士で戦争が起きたとも聞いたことが……」
「…確実に飲み干される」
それ以前に存在を知られたら大騒ぎになりかねん。
第一異世界の酒だ。
見つかったら見つかったで、間違いなく……
「…冷蔵庫の一番上に置いて隠し通そう」
「…ですな」
静かに自分達の分を上の段に隠す俺達であった。
悲しいけど、俺達も酒飲みなのよね……
酒、酒、酒!
ドワーフとしてはずかしくないのか!




