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コツコツ
執務室にノックの音が響く。
彼はハテ、と首をかしげ音のした窓へと近づいた。
そこにいたのは大きな鳥。伝書鳥として王族用の鷹。
この鷹は、彼の友人でもあり赤騎士の隊長であるデビットのモノで他の鷹より一回り大きい。
窓を開ければ、鷹は何時もの様に少し部屋に入る。
鷹の足には、紙が括り付けられている事から今回の頼み事の報告書かもしれないと紙を取った。
『 報告書
魔の森にて少女を発見。
吸血大熊に育てられた模様。
のち、アレクという魔人と交戦。
その際、リアンが吸血熊の魔核で古代契約を行う。
リアン本人の人格あり。
魔力暴走の危険もない状態。』
目を通していくと一つの単語に視線を留めた。
古代契約、正式名称は古代式代魔法契約。
生きた魔核を体内に取り込むもので今は無き魔法術式であり、王家の古書にも詳細は記されてはいない。
「古代式代魔法契約か。ルイウィール。明日の午後の予定を空けてくれ、騎士が帰ってくる。それと、人払いをしておけ。」
「承りました。我が王。」
彼はため息を吐きながらも、傍に控えた執事に声をかけた。
そして、鷹の足に返事を書いた紙を括り付ければ鷹は執務室の窓から飛び立ち大空へと飲まれていく。
―――――――――――――――――――――――
燃え盛る炎は全てを飲み込み喰らい烈火のごとく燃え上がる。
上がる悲鳴。
髪を、肉を、肌を焼く匂い。
彼は駆けた。
誰よりも、何よりも、焼け落ちる屋敷の中を。
父も母も手遅れだと分っていた。
だからこそ、あの子だけは、妹だけは助けたかった。
血の繋がりが半分しかなくても、あの子だけは助けたいのだ。
走る、走る。
この先を曲がれば、あの子の部屋。
「アバ?マダ生キテル???生キテル?オマエ、ニンゲン弱イ弱イ。」
蹴破った扉の先には炎の槍串刺しにされそうな少女と深紅の髪の魔人。
「にぃ・・・・・・・さぁ・・、ま・・・・・・。に・・・・、ぇ、て。」
「バイバイ、モウオマエ、イラナイ。」
次の瞬間、魔人は無情にも息絶え絶えな妹にその槍を放ち燃やした。
「やめろぉおおおおおおおおおお!!!」
―――――ガバッ
叫びながら飛び起きる。
リアンは玉のような油汗を掻きながら目が覚めた。
忌々しい、魔人の記憶。
あの子を失った記憶。
辺りを見渡しイノの姿を探し、隣のベットで寝ているのを確認して安心する。
叫んでしまっても一階連中が起きないのは自分の持っている魔法道具 のおかげだ。
防音結界を張ることのできるアイテムでお手軽に手に入る一品だ。
ベットから起き上がり、イノの寝ているベットに腰掛頭を撫でた。
「生きてる・・・・・。」
何度か繰り返していると「んぅぅ?」とイノが動いた。
「りーしゃん・・・?」
「ごめんね、起こしちゃったか。」
「こぁいゆめみたのぉ・・?いっしょ、ねんね。こぁくないよ。」
ベットの端に避けてスペースを開けてくれるイノの頭を撫でる。
「ありがと。(いやいやいや。まずいって絶対。そう言う意味無くてもアウトだよ。こんな姿でも、イノちゃん成人前のレディだから。ルシーに殺されるって、絶対!)イノちゃん、あのさ。」
「う?ねんね、」
目を擦りながら、リアンを見つめる。
「あ~~~~、うん、おやすみ(どうにでもなれ!)」
イノが落ちない様に抱しめて眠ると、さっきまでの悪夢が嘘のように眠れた。
少々、リアンさんがキャラ崩壊の危険性がありました。リアンさんはロリコンではありません。




