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召喚部屋に入ると、魔核はイノの手を離れ部屋の中央に転がり宙に浮いた。そして、魔核を中心に巻き上がる風が、四方を囲んでいる鈴を揺らし大きな音を奏で始める。膨大な魔力が、魔核から溢れ部屋を魔力で満たすと魔核は姿を変えていく。六角形の輝安鉱のような魔核は、狼を形どっていく。それは、大型バイク位の大きさだろうか。
「ルシー!どうなってる!?」
「私だって聞きたいわよ!!この魔核は唯でさえ特別なのよ!召喚すらしてないのに魔核から目覚めようとするなんて!」
「特別ってなんでそんな物渡すのさ!目覚めるってどういう事!?」
「この魔核は召喚では、反応しないのよ!自ら眠りについた奴だからね。アレは、魔核だけど卵に近かったのよ!普通に考えてA+の魔核をホイホイ売れると思うの?!売れると思うのならお馬鹿ね!」
言い争いをしているうちにも、魔力は大きな狼になって行く。四方を囲む鈴が千切れ壊れていく。全ての鈴が壊れたとき、ソレはイノの前にいた。白銀の毛に漆黒の瞳を持つソレはイノをジーっとみていた。
「・・・・・、キレイ。」
イノは魔核を持っていたときのように呟いた。狼はリアンの腕からイノを素早く奪い自身の背に乗せた。部屋の隅で蹲り、イノが潰れない様にお腹に乗せなおした。奪い返そうとリアンは動こうとするが、下手に動き魔獣を刺激するとよくないと思い直した。
「イノちゃん!っ、・・・・・・・・。」
「白雪狼ね。数十年もこっちを無視してくれた変わり者。」
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イノはそんな事など、気にせずに目の前のモフモフを堪能していた。すると、頭の中に声が響いてくる。キョロキョロしていると狼と目が合った。
【童子。おい、童子。】
「・・・・・なに?」
【俺はお前が気に入った。名前を付けろ。俺はお前を手伝ってやるよ。】
狼はイノの頬を舐める。
「【シロガネ】」
頭に思い付いた言葉をそのまま口に出すと、狼の片耳に薄ピンクの花のピアスの様な物が付いた。
【お前が死ぬか、俺が死ぬまで一緒に居てやるよ。】
狼は愛しそうにイノを見ていた。
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イノから出だした魔力が纏まり、白雪狼の耳元で固まった。ソレは小さな薄ピンクの花。
「あの子、テイマーの資質があるね。あのピアスはテイマーが従魔に与えるものさ。まぁ、ピアスに限らないんだけどね。一先ず、安心出来る。白雪狼に枷が付いたからね。」
「そう、あの白雪狼はイノちゃんに危害を加えないんだね。」
僕はそう言って、白雪狼に近づいていった。




