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近づいていることに警戒したのか、白雪狼はリアンに向けて唸りだした。唸られながらも、ゆっくりと白雪狼へと近づいていく。白雪狼と目が交わった。
≪小僧。穢れ人がやや子に寄るな。≫
『落ち着いて?僕はリアン・エグランティエ。イノちゃんの保護者だよ。』
≪信用できんな。獣に堕ちたヤツの言葉など。≫
『随分な言われ方だね、この子を守るために必要な犠牲だったんだよ。まぁ、所詮は自分の自己満足にしか過ぎないんだけどね。』
リアンは苦笑しながら、頬をかいた。イノは二人の間に流れる空気が悪いことに気付き名前を呼んだ。
「シロガネ、りーしゃん?」
「なに?イノちゃん。」
≪どうした?主?≫
「あ、あの、(ぐぅ~~~~。」
狙ったかのようなタイミングで、イノの腹がなった。そのことに羞恥を覚えたイノはシロガネのお腹に顔を埋める。
「はいはい。イノちゃんは、とりあえず何か食べよっか?うちの馬鹿弟子が、ご飯作ってるからね。はい、こっちにおいで。」
パンパンと手を叩き、今まで漂ってた不穏な空気を打ち消したのはシェルシーだった。イノはお腹から降りシェルシーの元へと向かおうとすると、シロガネも付いて行こうと立ち上がる。
「おっと、白雪狼は無理よ。リビングに入れないわ。」
『だってさ。残念だけど、ここで待ってて貰えるかな?僕が責任を持ってイノちゃんの面倒見てるからさ。』
≪ダマレ。熊風情の混り者めが。≫
リアンは、ニコリと笑いながら白雪狼に話しかける。二人の間に不穏な火花が散りだす。イノはシェルシーの所へと行くと、彼女の服の裾を引っ張った。
「ん?どうしたの、イノちゃん。」
「・・・・・二人、なんで?」
「あの二人?あぁ、えーとね。あの魔獣の種族は白雪狼って言うんだけどね、あの白雪狼は大きいでしょ?だから、イノちゃんについて行きたいんだけど連れてけないの。それを、リアンが説得してるの。」
「ち、いさい・・・いい・・?」
「うん、そうねぇ。白雪狼の赤ちゃん位の大きさなら平気なんだけど。」
シェルシーが困ったように笑っていると、イノは二人の間に入っていく。二人<一匹+1人>はイノが間に来た瞬間に言い争いをやめる。イノはシロガネに少し、頭を下げてもらい小さな手で撫でる。
「シロガネ・・・・・。【かわいい、かわいい】」
「「・・え?」」
徐々にシロガネの体は小さくなり、白雪狼の幼獣ぐらいの大きさになった。
「これ、で、いっしょ?」
イノはシロガネを抱きかかえてリアンに見せた。




