守るために
二話連続投稿です。
多少時間を送らせましたが…。
俺とルルは噴水に腰掛け、ただボー、としていた。何も会話もしないまま。
とりあえず何か会話をしないと気まずい。何か…何か…
「そ、そう言えばこの水ってどこから湧いてきてるんだ?」
なんとなく思った疑問を口にする。
「えっ…いきなりそんなことを聞いちゃうの!?え…と、内緒だけどいいよね…?」
こんなに感情が豊かな人がいるなんて…。本当にここはRPGの世界なのか?
「ここの村には、古い洞窟があってね。そこの一番深い場所にある湖に魔力をやどした伝説の剣があるんだって。噴水の水はその剣の魔力をやどした水なんだよ」
ルルは親切に教えてくれた。俺は頭を掻く。魔力ね…。聞き慣れない言葉だけあって現実味がなかった。
「その洞窟っていうのはどこにあるんだ」
「私の家の後ろにある岩場?みたいなところだよ」
ルルは大きな家がある方向を指をさす。と言うことはルルの家はあの大きい家なのか…。
「でかい家だな…」
率直な感想を述べる。他の家が見劣りするほどの大きさだった。
「そりゃ、村長のむすめだし…」
そうだったのか…。よくある定番のパターンだな。
それにしても洞窟ね。妙に引っかかりを覚える…。
「でも、立ち入り禁止なんだよ。絶対行っちゃダメだからね!」
ルルに念押しされた。立ち入り禁止なのか。
「無理なのか?立ち入ること」
「それはもちろん。見張りがいるし」
ふーん、そうなのか。見張りがいるのか。頭に洞窟についての情報を頭に叩き込む。
俺の考えはもちろんひとつ。
(絶対洞窟に潜り込んでやる)
それ一択だった。
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深夜。結局あの後ルルと少し雑談をして帰宅しようとした。(立ち入り禁止、という言葉をかなり念押しされた)。
が、問題はそこからだった。
家の場所が分からない。
村に存在する家を片っ端から探しまくっていった。家に勝手にはいってに何も言われないのは、RPGの特色だろう。なんとも胸の奥がチクチクしたが。
あたりが暗くなってから気づいたのだが、メニューのアイテムのところに「地図」が入っていたのだ。
即座にそれを開いて家の場所を確認した。んで、今に至る。
俺はベットに横になって明日の計画を考えていた。
(見張りっていっても人間…。こんな時間帯だといなくなるはずだ)
俺はそう考え、ベットから起きあがる。
キッチンの方に向かい棚を開ける。そこにはいくつか食料があった。その中からパンを2個取りだし1個を口に含む。
「さて…いくか」
俺は家を後にした。
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外は真っ暗だった。明かりも何もなく、暗闇に目が慣れるまで多少時間がかかった。
目が慣れてくると視界がさっきよりはっきりしてくる。
「えっと。ルルの家は、あそこだな」
目に大きな家が映る。やはり目立つな。家までこそこそ歩いていく。
ルルの家を通り過ぎてからはすこし小走りに変更する。
「さて…岩場っていうのはたぶんあそこだな」
近くにある川の近くに下り坂があるのが見える。そこの先が岩場なんだろう。
下り坂をおりる。そこにはごつごつとした岩場があった。
「さて…。洞窟があるということは、入口がどこかにあるはず…」
周りをきょろきょろ観察しながら、入口を探す。
「おっ…あそこだな」
壁沿いに少し歩いて行くと、入口らしきほら穴があった。
「って、暗いし」
ほら穴の中は暗かった。とてつもなく暗かった。
「さ、先が見えない…」
恐怖感が強くなり少したじろぐ。が、踏みとどまる。
「よ、良く見れば一方通行みたいだし…。た、たぶんそうだ!」
そう言い聞かせ俺は歩を進める。暗いので一歩一歩踏み確かめながら。
「くそっ…明かりとかないのか?RPGは洞窟とか言ったらいつも持ってるのに」
たらたら文句垂れながら進んでいく。
「ん?」
ふとなにかの視線を後ろから感じる。誰かから見られているそんな感じだった。
「見張り…か?でも、さっきはいなかったし」
頭を傾げ、後ろを注視する。が、すぐに前を向く。
「ま、ここまで来ないだろう。暗くて怖いし」
実際俺の脚は恐怖感で小刻みに震えている。我慢しているのだ。
俺はさっさと足を動かし、先に進んだ。
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俺は座り込んでいた。目の前に広がる神々しい光景に目を奪われながら。
「これが魔力を含む湖…か」
目の前に広がる湖はきらきらと輝いていて、まるで楽園のオアシスのようなものだった。
そしてその中でもひときわ輝きを放っているのは、
「剣…?封印されているのか」
湖の中央にある岩場に突き刺さっている剣だ。剣の刀身の半分が埋もれている。柄の先には水色の宝玉のようなものが生みこまれていた。
「あれが魔力の源…なのか」
俺は座り込んだままその剣を見つめていた。
その剣になにか吸い込まれるように俺はその剣に見入っていた。
「コラッ!!!」
突然後ろからどなり声が聞こえる。
「うぉっ!?」
俺は慌てて立ち上がり後ろを振り向く。そこには松明をもったルルが立っていた。
「もう。あれほど立ち入り禁止だって言うのに。なんで来るかな!?」
ルルは相当怒っていた。
「な、なんで分かったんだよ」
「急に目が覚めてしまって、そとの空気吸おうと思って窓を開けたら、洞窟に行こうとしているのが見えたんだもん!そりゃ、気になるよ!」
「うっ、すまん」
俺は頭を掻きながら頭を下げる。
「もう。お父さんにばれたら説教だけじゃすまされないんだからね!」
ルルはカンカンに怒っている。これでは手が付けられない。本当に申し訳ない…。
だが…なんだろう……。妙な胸騒ぎがする。もう一人…いや……もう一匹か?
なにかいる!?
そう思うのと目の前に巨大な拳を振り上げた何かが見えたのは同時だった。
「危ない!!!」
「えっ?」
俺は反射的にルルを横によける。ルルはいきなりのことだったので、転んでしまう。
「ぐぅぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」
そして巨大な拳が俺の腹を直撃した。
「ぐぅっ!!!」
その威力は大きく、俺の体を湖の真ん中の岩場まで飛ばしてしまった。腕でガードしたはずだったが、腕を弾き飛ばし腹に拳が直撃した。今まで体感したことのない激痛が腹に来る。腹を手で押さえながら前を見る。
遠目からはぼんやりとしか見えないが、何かがルルの見据えていた。
ルルはおびえているのか、その場から動くことが出来なかった。
俺は目を見開き、その何かを注視する。やっと視界がはっきりしてきたところで、その正体をつきとめる。
「ご、ゴーレムか!」
そのシルエットはRPGのゲームなどでよく見かけるゴーレムそのものだ。光る紅い瞳が特徴的なゴーレム。先ほどの一撃が重かったのだろうか。すこし動きが鈍くなっている。
「くそっ…」
腹を押さえながら立ち上がる。水で濡れている服がいつもより数段重く感じる。気付かなかったが、視界の右上で赤いゲージが点滅している。どうやら体力ゲージのようだ。腕でガードした分、威力は軽減されているようだ。
「くそっ…。ルルが…俺のせいで」
ルルは意識を取り戻したのだろう、後退しようとしている。が、恐怖でうまく体を動かせないのだろう。「このままじゃ…追いつかれてしまう」
ゴーレムは少しずつだが動き始めている。さっきの速さに戻るのは時間の問題。
「ゲホッゲホッ…。俺が…どうにかし…な、きゃ」
俺は後ろを向いて歩く。そして岩場に突き刺さっている剣の柄を握る。
「ゲホッゴホッ…。くそっ…抜けろよ…抜けろよぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!」
何度も何度も岩場から剣を抜こうとする。だが抜ける気配もなく、「これは選ばれし者でなければ抜くことが出来ない…」というメッセージが空しく表示されるだけだった。
そうこうしているうちにゴーレムの動きが速くなる。ルルは壁まで行ってしまい逃げ道がなくなっていた。
「くそっ!抜けろって!…くぅ」
腹に更なる激痛が走り床に膝をついてします。
それでも柄は離さない。
「守るんだ。ルルを守るんだ」
俺はそう呟きながら、剣を使って立ち上がる。
「てめぇが伝説の剣って言うなら、俺の願いを叶えて見せろよ!!!ルルを守らせてくれ!もう俺の眼の前で何かを失うのはもうこりごりなんだ!」
あのときのように…。あのときのような後悔をしないように…。
願いを込め、柄を握る手の力を一層強くする。
「抜けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
体全体に不思議な感覚が感じられる。その瞬間、剣の重みが一気に消え去った。
岩場に突き刺さっていた剣を抜き、大きく振りかぶる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
そして振り下ろす。剣から放たれた斬撃は湖を切り裂き、ゴーレムの振り上げていた腕までも切断していた。
ゴーレムはゆっくりとこちらに顔を向ける。その紅い目の輝きがさらに増した気がする。
ルルは恐怖と驚きのあまり涙を浮かべ、こちらを見ていた。
俺はルルと目を合わせて頷いて、ゴーレムを睨む。
いつものやる気のない怜央とは違う。
ただならぬ覇気を宿し心に迷いがない、それになにより右手で伝説の剣を握りしめている。
剣道などかじったことのないが、それらしく構えて見せる。
「ルルを守るために……ゴーレム!!!お前を叩き斬る!」
急展開過ぎるよな…?




