アイスティーと美味しい煙
弐ノ前アキノ 73歳 喫茶店のマスター愛煙してる煙草はホープ
タツキの育ての親みたいな人物、忙しい両親に変わり、よく飯や菓子を喰わせていた
タツキからの愛称は、ばあちゃん、
いつの日からか、お互いにlineを交換し連絡を取り合う仲になった
どちらからともなく始まるアプリでの交流、大体お互いが休みの日は三回くらいのやり取りで終わる
今日休み? 休み じゃあ今からそっち行く おけ
大体いつもこんなやり取りだ、そしてあの人が部屋に来る
美煙「た~つきちゃ~ん、おっじゃま~」
壁をするりと突き抜け、私の部屋にやってくる。彼女は煙羅美煙
煙羅煙羅、または煙々羅という煙の妖怪らしい、彼女は煙を主食とし、人の吐く煙草の煙、呼気煙が特に好きなのだ。そんな人外な彼女とどういう訳か仲良くなった
タツキ「よ~、おはよ」
私はいつものように素っ気ない挨拶を笑顔と共に返す。彼女はどうやら機嫌がいいらしい
美煙「今日はなにする?おでかけ?それとも部屋でまったり?」
ふんふんと鼻息荒く私の周りをちょろちょろする美煙、なんか・・犬みたいだな・・しかも小型犬
私は想像して少し笑い、今日の予定を口にする
タツキ「今日は・・なんと煙草が吸えるカフェに行きます」
美煙「お!?カフェ!!甘いのはある?」
私は立ち上がり準備し、移動しながら会話する。どんな甘いのがあるか、コーヒーは何種類あるかとか、そんなたわいのない話だ、そんな話を美煙は楽しそうにワクワクしながら聞いてくれる。
そんな話をしていたらあっという間に目的地に着いた。少し古びてはいるが内装は落ち着いていておしゃれなお店だ、ちょっと緊張している美煙の手を取り、店の扉を開ける。カランと呼び鈴がなり、カウンターにいるおばあちゃんが優しい声でいらっしゃいと言ってくれる
タツキ「アキノさん久しぶりです」
頭を下げて挨拶をする私に遅れて同じくこんにちはと挨拶する。
アキノ「あらあら、たつちゃんじゃないの、ご無沙汰だったわねぇ~」
目を優しく細め、ニコニコでカウンター席に案内してくれるアキノさん
アキノ「たつちゃん煙草吸うでしょ?はい灰皿、こちらのお嬢ちゃんは?」
笑顔を絶やさず美煙に聞いてくれるアキノさん、そんなアキノさんとは裏腹になんだかカチコチになっている美煙
美煙「私、煙羅 美煙って言います!たつきちゃんにはいつもお世話になってます」
緊張する美煙にアキノさんが笑いながら言う
アキノ「おやおや、お嬢ちゃんそんなに緊張しなくていいんだよ?ここは休む場所、これでも飲んでリラックスしなさいな」
そう言いながらアイスティーをサッと差し出すアキノさん、流石この道50年のベテランだ
美煙がおずおずと出されたアイスティーをストローでちうちう飲む
美煙「おいしい」
美煙の顔から緊張が消える、アキノさんがそりゃよかったといい私にもアイスコーヒーを出してくれる
タツキ「え、イイんすか?」
注文しようとしていたのでちょっと戸惑う
アキノ「ん?あたしの好意を無下にする気かい?たつちゃん・・悲しいねぇ・・こんな老いぼれの好意すら受け取ってくれないなんて」
大げさに落ち込む真似をするアキノさん、ちょっと私は慌てる
タツキ「の、飲みます飲ませていただきますから!そんなに落ち込まないでよばあちゃん」
アキノ「おやおや、懐かしいねぇまだ私の事をばあちゃんと呼んでくれるのかい、嬉しいねぇ」
顔も性格も似ていない、どうやら二人の間には家族みたいな信頼関係があるようだ
美煙は珍しくおどおどしているタツキちゃんを見てクスッと笑った。なんかいつもぶっきらぼうで
ドライなタツキちゃんがこんな表情を見せるのは珍しいと思いつつアイスティーを飲む、ああ美味しい
一通りタツキちゃんとアキノさんのじゃれ合いを見つつ私はメニュー表を見る。そこで私の大好物を見つける
美煙「すいませんアキノさん!カラメルたっぷりプリンください!」
私が元気な声で注文するとアキノさんが嬉しそうに答えて厨房に引っ込む
タツキ「あ!ばあちゃん私にも!」
厨房の奥からあいよ~!と返事が返ってくる。暫くしてデカいプリンが二つ運ばれてきた。
美煙は元気よく頂きますを言った後パクパクとプリンを食べている、私も煙草を置きプリンを食べる
変わらない味、幼い頃に食べたときのままだ、この甘さに煙草がまたよく合う
アキノ「おお、おお、良い喰いっぷりだねぇ」
煙草に火を付け、満足そうに笑うアキノ、なかなかの貫禄だ
私はプリンを食べ終わりアイスコーヒーで甘さを流す。うんいいね
タツキ「ばあちゃんもかわらないね~ほんといつもうまいよなここの喰いもんと飲みもんは」
同じく煙草を吸いながら満足そうに言うタツキ、美煙は追加注文のレモンティーとパンケーキを美味しそうにパクついている。美煙って意外と食いしん坊だったのか
タツキとアキノが二人仲良く煙草の煙を吐く、
タツキ「相変わらずキツイ煙草吸ってるね、ばあちゃん」
タツキが話しかける。アキノはこのくらいが丁度いいのさと軽く笑う
その光景をモリモリパンケーキ食べながら眺める美煙、今日はタツキちゃんが良く笑う姿を見れて自分も嬉しいと思う、思うのだが・・どーしても我慢できないことがある・・そう、アキノさんの煙の味だ
私はコッソリ煙草に火を付け、吸うふりをしながら二人の煙を吸う、なんとも言えない優しい味と風味だった。気のせいかはわからないけどタツキちゃんの煙の味もいつもより柔らかくて温かい気がする
それからしばらく三人で軽く話をしつつ煙草をふかし優しい煙を密かに味わいながら、また来たいなぁと
思う美煙であった




