酔いどれ二人
「だ~~か~~ら~~ぁ~~酔ってないってばぁああ」
そう言いながら私にもたれかかってくる美煙、そう、今私達は酒を飲んでいる。美禅さんとココ君からの誘いで今日は貸し切りだ、なんでも数か月に一回はこうやってガス抜きの機会を設けてるのだそうだ
美禅「ンもぉぉぉ~~~!!美煙ちゃんったらッ!!貸し切りだからって飛ばしすぎよ・・」
頬に手を当てながらジョッキでウイスキーを豪快に飲む美禅さん
ココ「まあ、普段の仕事柄溜まるもん溜まってたんだろうね~」
煮干しをむしゃむしゃしながら日本酒を飲むココ君、うん、そのイケメンで煮干しむしゃむしゃしてんの
なかなかシュールだな
私はグラスに注がれたウイスキーを喉に流し込みながら甘いお菓子を口に放り込む、うむ旨い
ついでにナッツも口に入れポリポリと噛む、そして今度はラム酒で流し込んで余韻を楽しむ
美禅「タツキちゃん通な飲み方するわねぇ~~!なかなか様になってるわよ!かぁっこいい!!」
いや、ウイスキーをジョッキで飲んでピザを重ねてむしゃあしてる美禅さんもなかなかですけどね?
自分の限界を超えないようチビチビ飲む、合間に水と煙草も加えて、一度限界まで飲んだ時記憶を失ってたからな、自宅でだからよかったが、そのあとの二日酔いの気持ち悪さと言ったらなかった、あんな思いは二度とごめんだ、そんな私とは対照的に美煙は度数の強い酒を浴びるように飲んでいる。
美煙「アハハハハハハハ!!どんどん飲むぞー!!吸うぞーー!!」
見ていて思わず目をそむけたくなるくらいお店の仲間に絡みまくっている。美煙の同僚というかここの従業員さんはみんな妖怪とのこと、万が一にでも酔いすぎて正体が露見する・・なんて心配は無いんだそうだ
ココ「いやぁ・・美煙ちゃんは酔うとああなるから僕は気を付けなきゃねぇ」
ココ君がやれやれと肩をすくめながら日本酒を飲み、小魚をポリポリ食べる。魚すきだねぇ・・あ、猫又だからかな?
そう考えているとドン!と背中に衝撃が走る。そこには酒瓶を持ってべろべろに酔っぱらった美煙がいた
美煙「にぃへへへへへ・・たぁつきちゃ~~~ん」
どうやらターゲットにされてしまったらしい、とりあえず落ち着いて対処しよう
タツキ「どうした?美煙」
なるべく自然に美煙を刺激しないように声を掛ける
美煙「もっと飲もうよ~~~」
すっごい首に腕を絡めながら酒臭い息を吐き絡んできた。うわぁ・・厄介だなぁ
タツキ「しっかり飲んでるよ、ほら」
落ち着いてグラスを振って見せる。カランと氷が鳴った
美煙「か~~~ら~~~じゃぁぁぁん!!注いだげる~~~♪」
笑顔でそう言いながら酒瓶の中身をゴポポポ、と私のグラスに注ぐ美煙、しかも並々と
「・・・」
美禅さん、ココ君、私でグラスの中身を見る。まだ底に少しあった茶色の液体は大量の透明な液体になすすべなくかき消えた。鼻をスンスンと嗅ぐとツーンとした強いアルコールの匂い、どんだけ強い酒入れられたんだ・・・
美禅「美煙ちゃん、このお酒なーに?」
美禅さんが美煙に聞いてくれる。美煙が笑顔でジン~~~!!と答える。
ココ君「わぁ~~・・アルコールきつ~い」
若干ココ君が冷や汗をかきながら私の代わりに答えてくれる。美禅さんと三人でアイコンタクトを取る
「・・・(手でバツのジェスチャー)」
Oh・・やっぱコレ飲んじゃアカンやつなんすね?飲んだらアウトなんすね?
タツキ「美煙・・私は実はそこまでお酒強くないんだ・・だから勘弁してくれない?」
こういうのは相手を刺激せずにゆっくり優しくお願いを・・
美煙「ええ~~~??せっかく私が注いだのにぃぃ~・・いつも強気なタツキちゃんは何処に行っちゃったのかなぁ~~??」
イカン、完全に煽りに来てる、乗るな・・冷静に・・冷静に・・
美煙「ああ~~~!!わかったぁー!!いつものは強がりで~!!だから飲めないんだぁ!」
冷静・・・冷静・・
美煙「たーつきちゃんの強がり~!ふん!いつもアイアンクローしてくるのは強がってたんだぁ~!やーいやーい!」
プツン
私の中で何かが切れた、ゆっくり席を立ち、グラスの中身を一気飲みする
美禅「ちょ・・たつきちゃん!?」
ココ「ああ・・」
二人が慌てる。かまわずこの透明な液体を飲み干す、かっっら!!
タツキ「ングッ・・ングッ・・ぱはぁ・・飲んだぞ・・」
グラスが空になったことを証明するようにゴトッとグラスを置く、そしてニヤリと笑いながら口を拭う
美煙「ぬぐぐ・・」
多分本当に飲むとは思わなかったんだろう、少し悔しそうな美煙の顔が浮かぶ、どうだざまぁ見ろ
ゴポポと美煙が自分のグラスに酒を注いで一気飲みする
美煙「ぷはぁ~~・・へへッ」
お互いに笑いながらにらみ合う・・今勝負が始まった。黙ってグラスを差し出す、するとそこに美煙が新しい酒を注ぐ、それを覚悟を決めて飲み干す私、次に美煙がまた飲み干す。静かに切られた勝負の火蓋
互いにほとんど喋らずループするように互いに酒を飲み、注ぎあう二人、その様子を美禅とココは固唾を飲んで見守り、他の従業員はなぜか少し怖がりながら見守る。
永遠に続くと思われたが、終わりは唐突に訪れた。何杯目かの酒を飲み干してから二人が動かなくなる
そして先に崩れるように倒れたのは美煙、
美煙「だはぁああ~~??世界がま~わるぅぅ??・・うっぷ」
美禅「自業自得よ・・んもぅ・・ほらソファーに横になりなさい」
美禅が美煙を抱え、ソファーに寝かす、相変わらずきぼぢわ‘‘るい‘‘とか言ってるが自業自得である
タツキの方はココ君が駆け寄る。しかしタツキは動かない
ココ「た・・たつきさん?たつきさん!」
ココがタツキに声を掛ける・・が、タツキが唐突に脱ぎ始める
タツキ「・・・あつ‘‘い‘‘」
ココ「ニ‘‘ャー!?たつきさん!!ここお店!!脱いじゃだめですよ!!」
タツキ「・・・えー?」
タツキがココの方を向く、焦点の定まらない目、のぼせたように真っ赤な顔が見えた
その時ココは悟った、あ・・・これアカンやつ
ココが固まっている間にどんどん脱ぎ始めるタツキ
ココ「だ、誰かー!?タオルタオル!!」
ココが慌ててタツキをタオルで包む、もぞもぞとそのままココを引っ張って美煙とは別のソファーに向かう
ココ「え、ちょ・・うわ力つよ!?店長ーー!!助けて!!?」
美禅「まあ・・たつきちゃんなら変なことしないでしょ、諦めなさい」
サラッと見捨てられるココ君
ココ「そんなーー!!あっ!!たつきさん僕のこと脱がそうとしないで!?・・だから力つよ!?」
と、ココ君貞操の危機だったがそこで糸が切れたように動かなくなるタツキ、そのまま寝息が聞こえてくる。
ココ「ホッ・・・」
そのままするりと液体の様にタツキの組技から抜け出し服を整えるココ君
美禅「相変わらずのすり抜けスキルね、便利だわ」
店長の美禅が関心したように言う
ココ「僕は猫ですからね~、これくらいお茶のこさいさいですよ」
へヘンと胸を張るココ、そしてソファーに寝ている二人に向き直る
美煙「あ~~~~・・うう‘‘~~~」
タツキ「すや・・・すや・・」
二人ともそれぞれ寝息を立てている、美禅がこれもうどうしようも無いからそっとしときましょと言った
ココもですねぇ~と同意を示す。静かになった店内に二人の寝息と呻きだけが時折聞こえた




