二日酔いと猫
うう‘‘・・頭いだぁい・・きもぢわるい‘‘
タツキは鉛の様に重い身体をどうにか仰向けにする、すると何やら掛けられた毛布の中、腹の上に温かいモノが乗っている。そっと毛布をめくってみる
「にゃ~」
なんだ猫か、ズキリと痛む頭を押さえながら起き上がり辺りを見渡す。記憶が確かなら美煙と飲み比べをしたはず、そのあとから記憶がない
タツキ「昨日どれだけ飲んだんだ・・ッ!頭いてぇ・・」
「にゃ~・・ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘」
猫が喉を鳴らしながら顔を体にすり寄せてくる、可愛い
猫をわしゃわしゃしながら尻尾の付け根をトントンしてやる
「にゃ!?ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘」
猫が少し驚いたもののすぐに喉を鳴らしまくる、フフ、堪らんだろう?これでも昔は近所の野良猫を手懐けていたからな、このくらい簡単だ、しっかし人懐っこい猫だなぁ・・
美煙「う‘‘う‘‘・・み、みず~~~」
そこにゾンビの如く起きてきた美煙がこちらに来てテーブルの上の水を飲む
美煙「ふはぁ~~・・あえ?タツキちゃんいつからそんなにココ君と仲良くなったの?」
求めていた水を飲み、ふと私のお腹あたりに居る猫を見つめてそう言った、え?ココ君?
この猫ココ君なの?
私はもう一度よくその猫を見る。すると猫が喋り出す
ココ「あちゃ~、バレちゃった♪」
悪戯がバレたようにその場で私の身体から降り、ゆっくりと猫が変化していく、あっという間にいつもの
ココ君になった。
タツキ「私ココ君の事撫でくり回しちゃってたんだけど・・」
そう伝えるとココ君が身体をしならせ自分を抱きかかえるようなポーズをしながら言う
ココ「いやぁ・・すごく気持ちよかったよ!タツキさんなかなかのテクニシャンだねぇ」
ヤメテ、頬を赤らめないでココ君、なんか卑猥に聞こえちゃうから
美煙「わあーお・・・タツキちゃん・・積極的ぃ・・」
タツキ「お前は今話を聞いてただろうが!?なんなら見てただろうが!!」
思わず大きな声を出してしまう、頭が痛い
美禅「タツキちゃんがなにしたって~?」
そこに店長が料理とおにぎりの皿を持って現れる。なんかすごい量だ
美禅「まあ話はともかく朝ごはん食べなさい、お味噌汁あるから二日酔いに効くわよ」
そう言いながら次々に料理を並べていく美禅さん、恐るべき家事スキルだ
私は頂きますと両手を合わせ、味噌汁を一口すする。
タツキ「おいしい!」
じんわり体に染みわたるというかなんというか幸せな味だ
美煙「んはぁ~~~!!美禅さんの味噌汁効く~~~」
私とはまた違い、猫背になりながら味噌汁をおばあちゃんの様に啜っている美煙、昨日あれだけ飲んだのに吐いてないのは大したもんだ
スッ、と私の目の前におにぎりが差し出される。ココ君だ、
ココ「おにぎりも食べれるなら食べてね~、食べ終わったらまたよしよしして欲しいな」
なぜかすごく期待されているような気がする。ココ君から受け取ったおにぎりを口に運ぶ、中身は鮭のようだ、とても美味しい、モグモグとおにぎりを咀嚼し飲み込む、ココ君を見ると鶏肉を焼いたものにかじりついている。見た目は人間と変わらないのに食べ方がなんか猫を思わせるように一口が小さい、
口は大きく開けるんだけどそもそも口が小さくてちみっと齧ってはモグモグしている。なかなか可愛い
じ~~~~
思わずなんか可愛くて見続けてしまう
ココ「そ・・そんなに見られるとちょっと恥ずかしいなぁ」
若干照れながら、癖なのか鶏肉を掴んでいた指を舐めるココ君
美禅「ホホホ、ココちゃんは人を誘惑したり、悪戯の的にするのは得意なんだけど、自分が的にされるのは苦手なのよねこの子」
美禅さんが豪快におにぎりを頬張りながら言う、私の拳くらいのおにぎりを一口で・・豪快だ
美煙はと言うと、相変わらず味噌汁を啜っている。
タツキ「そんなに二日酔いひどいのか?美煙」
そう尋ねると、美煙が少し疲れたように笑いながら
美煙「フフフ・・久しぶりのガス抜き・・羽目を外しすぎちゃったぜ・・我ながら情けない」
と言った。まあ普段は嫌な客も来るだろうし、生きてりゃストレスは溜まる。あの飲み比べでそのストレスが少しでも抜けたなら、こっちも二日酔いになった甲斐があるというものだ
さて、私にとっては豪華な朝食をご馳走になり、なんかお礼したい気持ちなんだが・・何をしたらいいだろう
美禅「別に何かしようとしなくていいわよ?」
口に出してないのにまっすぐこっちを見ながら言われたので少しぎくりとする。美禅さん心読めるんか
美禅「別に心なんて読めはしないわよ、ただ観察と経験があるだけ」
煙草に火を付け煙を吐く美禅さん、なんかかっけぇ
美禅「ま・・どーしてもっていうならさっきから隣であなたの事見てるココちゃんになんかしてあげなさいな」
少し視線は感じていたのでそんなに驚かなかったがホントに良いのだろうか・・ココ君をその・・モフってしまって
ココ「お、お願いします・・」
あ~・・・その表情はんそくぅ・・無理です無理、逆らえません
タツキ「では失礼して」
私も覚悟を決めて既にネコ化しているココ君をモフる
タツキ「も~ふモフモフモフ、よしよしよし、」
ココ「ン‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘」
ついでにお腹も
タツキ「さすさすさすさす」
ココ「コル‘‘ル‘‘ル‘‘ル‘‘!?グル‘‘ル‘‘ル‘‘~」
どうやら満足してもらえてるようだ、私は満足そうにしているココ君を引き続き撫でる
美禅「タツキちゃん・・やるわね・・」
美煙「でしょ?たつきちゃんやるんだよ、意外と」
美禅さんと美煙が仲良くこっちを見ながら何かつぶやいている。なんなんだ本当に
ココ君が人型に戻りながらぐったりと私の膝の上で腹を見せる
ココ「く・・癖になりそうです・・」
人型に戻ったあとに言われるとなんかなんとも言えない気持ちになる・・
そんな気持ちを抱えながら、私はココ君の顎や耳の後ろを猫の時の様にしばらく撫でて過ごした




