タツキちゃんと夜の街
私は今人生初のスナックに居る
美煙「たつきちゃ~ん!!飲んでるぅ~!?」
元凶から楽しそうな声がかかる。あいつ・・来るまであんなによわよわしかったのに
「いやぁ災難だねぇ、えっとタツキさん」
そうねぎらいの声を掛けてくれるのはここで働く化け猫のコウ君、良い少年だ、いや・・働けてるから青年?
コウ「まさか美煙ちゃんが人間の友達連れてくるなんてね、驚いたよ」
さりげなく私の隣の席に腰を下ろし、こちらに微笑みかけてくるコウ君、おおぅ、すんごいスムーズにスペース入ってくるなぁ
タツキ「あいつから雨だから動けないって連絡来た時はまたかって思ったけどね」
そういいつつ煙草をふかす。当の本人を見る。元気にはしゃぎながら酒を注いで回ってる。現金なもんだ
コウ「美煙ちゃんは雨にめっぽう弱いからね~、こちらとしても助かりましたよ、これはお礼です」
そう言いながらこちらに飲み物を出してくる。ウイスキーか、なかなか高級な物じゃないのかコレ
お礼を言ってから恐る恐る口にする。口いっぱいに芳醇な甘みとウイスキー独特のまろやかさが広がる
それを味わうように飲み込む
タツキ「・・うっま」
びっくりするくらい芳醇でまろやかな味だ、いつもの安酒とは違う
コウ「美味しいでしょー♪」
その様子を見て満足そうにするコウ、気のせいかゆらゆらと二股の尻尾が見えた
しばらくコウ君に仕事や美煙の愚痴を聞いてもらった。酒のおかげで舌もよく回る、気づいたら閉店の時間まで喋ってしまった。コウ君にはなんか申し訳ない、ふと、店内に自分以外のお客が居ないことに気づいた。そして美煙がいつの間にか隣に居る、しかも私の吐く煙をパクパク食べてる
美煙「コウ君~、タツキちゃん取らないでよー?私のだかんね!」
そう言いながら私に抱き着いてくる美煙、少し酒臭い
コウ「ナハハ、取らないから安心してよ」
そういったコウ君・・あれ?なんかちょっと容姿が変わってる?
コウ君の短かった髪は長くなり、サラサラのロングヘアーになっている・・コウ君女の子!?
美煙「あ、やっぱりタツキちゃん驚いた、コウ君便利だよね~猫又だから化けるの上手くて私達にも性別わからないんだぁ」
美煙が私を強く抱きしめながら言う、いや苦しいがな
コウ「僕は性別ないからねー、相手の都合の良い性別になるのさ」
乾きものの小魚をポリポリ食べながら二ヤリと笑う、コウ君・・不思議な子だ
「アナタ達!そろそろ閉店のお時間よッ!!おかたずけしましょッ!!」
店の奥から店のオーナーである美禅さんが出てくる。めっちゃ綺麗な人だがオネェ、いわゆるオカマさんらしい、とてもそうには見えない・・が、キツネさんでどっちにも化けられると聞いて納得した。生物学的にはオスらしい
コウ&美煙「はーい」
二人が元気のいい返事と共に店の奥に消える、その場に美禅さんと私だけが残るちょっと気まずい
美禅「アナタ、今日は助かったわ~~ん!美煙ちゃん人気なんだけど、雨の日に弱くなっちゃうのが玉にキズなのよぉん、妖怪の特性とはいえ、困りものよね~!そ・ん・な・と・き!!アナタみたいなしっかりしたお友達が居てくれて・・ほぉぉぉおんとうに助かるわ!良かったらまた飲みにいらっしゃい!お金はいらないから!」
優しく肩を叩かれる、悪い気分ではないむしろ元気をもらった気がした
コウ「ママー!洗い物終わったよ~」
美煙「うええええ、水飛び散って煙が溶けるぅぅ」
二人ともそれぞれの表情で店の奥から出てくる、美煙のやつ服がにじんでるな水を少し浴びたようだ
美煙「たつきちゃ~ん!煙ちょーだいー!」
両手を広げて抱き着いてくる。だから苦しいて
私は美禅さん達に頭をさげ店を出る。隣をちょこちょこと美煙がついてくる
美煙「えへへへ、みんなと仲良く出来てたみたいでよかったぁ、ちょっと不安だったんだよね」
タツキ「みんな良い人?妖怪?だったよ、コウ君のビジュが良くて眼福だったし」
今度何かお土産持って行って好みの人間に化けてもらうか、とか邪なことを考えてしまう
そんな他愛無い話をしてるうちにアパートに着いた、が・・美煙が腕を組んで離れない
美煙「もう少し・・煙草吸いたいな~」
私は頭をガシガシかきながら美煙を自分の部屋に招き入れる。そして部屋の主より早く部屋の真ん中にちょこんと座る美煙、やれやれ、困った友達だ
美煙「ごめんねぇ、まさか出勤前に雨に降られるなんて思ってなくて」
美煙が煙草を咥えながら私に聞く、私も隣に腰を下ろしながら煙草を咥える
タツキ「いや、気にしなくていいよ、さっきも言ったけど楽しかったし、こうして煙草吸えたからいい」
ゆっくりと煙を吐く、天井にたどり着く前に美煙に食べられる。もう慣れた
美煙「ならよかったぁ・・初めての人間の友達だし、ちょっと頼っていいか迷ったんだよね、勇気出してよかった」
美煙が勢いよく煙を吸い、吐く、どうやら一安心したようだ
タツキ「これからもお互い色々カバーし合おうな、私も美煙のこと頼るから」
ゆっくりと煙を吐く、美味い酒を飲んだおかげか、それとも美禅さんやコウ君に励まされたおかげかやけに美味く感じる。ああ、ああやって他人とコミュニケーションを取ったのはいつ以来か・・そう思いながら美煙を見る。いつの間にか眠ったようで小さく寝息を立てていた、私は自分用の布団を引き、そこに美煙と一緒に横になる。てかこんだけ動かしても起きないの色々と大丈夫か?少し不安を残したまま、まだ煙草の煙が残る部屋でゆっくり目を閉じた




