都合の良い関係
さてさて、今日は何をしますかね、部屋に籠り煙草をふかす。今日はバイトが休みだ、美煙はまだ眠っているのだろうか、隣の部屋からは音がしない、
タツキ「ふーー」
愛煙しているラキストメンソを気持ちよくふかす。暑い日にはこれが良い、特に冷たいシャワーを浴びた日には、
タツキ「ふーー」
冷蔵庫で冷やしたビールを一気飲みし、煙草を吸う、嗚呼堪らんこのために生きている。
私は煙草を咥えながら軽い伸びをする。身体のあちこちがコキコキ音を立てる
タツキ「ん~~、最近筋トレサボってたからなぁ・・なまってるか?」
色々なポーズをとり体をほぐす、ん~~ちと固くなってるか?しゃちほこ、ブリッジ、と、ちとキツイポーズをとり・・
タツキ「ぎぼぢわ''る''い‘‘」
見事に気持ち悪くなった。いやぁアルコール入ってるときにやるもんじゃないね、大人しく水を飲み、ゴロンと大の字になる。
タツキ「美煙のやつ・・起きてこないかなぁ」
天井を見つめながら美煙の事を思い出す。ふと、自分が美煙の居ない時どうやって過ごしていたかわからなくなる。いや、忘れてただけだ、よくよく思えば筋トレしたり、こうやって酒を飲んだりしていた
変わり映えの無い日々を過ごしていた。バイトして働いて金を稼いで飯を食い煙草を吸う、時々酒に酔い
おかしなことを考えては一人で笑う、そんな日々だ
タツキ「我ながら面白くもない日々だなー」
起き上がり煙草を咥え、火を付ける。煙草を吸い長く煙を吐く、そのまま煙は上り天井に消えて・・
美煙「スゥゥゥーー・・あんむあんむ」
なんか壁から生えた口に吸い込まれていった、なんじゃありゃ
ぬるぅ~と壁から美煙が生えてくる。もうなんでもありだな煙妖怪
美煙「いやぁ~寝起きの副流煙と呼気煙は旨いですなぁ」
口をもぐもぐ動かしながら眠そうにいう、顔だけ美煙の何かが喋りながらいつもの姿を象っていく、いやいやおい、壁抜けれんのかよ
タツキ「ふほーしんにゅーだぞ~」
煙草の煙を美煙に向かって吐きながら言う、その煙を美煙がパクパクと口を動かしながら食っていく
なんか餌付けしてるみたいだ
美煙「いやぁ~、寝起きに美味しそうな煙の臭いがしまして・・思わずすり抜けてきちゃいました」
起きたてほやほやの笑顔でそう答える美煙、相変わらず可愛い顔してんねぇ
タツキ「朝の歯磨きはしたか~?」
まるで親みたいなことを言う
美煙「しましたよーぅ、そしてもっかい寝ようとしたら良い匂いが・・」
だらしなくよだれをたらしそうになりながら口を開けて待っている・・雛かな?
タツキ「ふーー」
美煙、「あんむあんむ」
何じゃこの光景完全にアタシが親鳥じゃないか
タツキ「あとは自分で食べな~?」
そういうと美煙の口に煙草を咥えさせる。
美煙「ふも?ん~~」
あ、ライターね、ハイハイ、美煙の煙草に火を付ける。大きく息を吸う音が聞こえて盛大に煙を吐いた
私も煙草を深く吸い、ゆっくりと吐く、今度はお互いの煙が部屋に充満する。煙草の良い匂いも広がる
美煙「あ‘‘あ‘‘~~、美味い・・美味いよぉ」
ちゃぶ台に突っ伏しながら煙を吐いている。ひどい絵面だ。私はそれを見ながら残ったビールを飲み干す
タツキ「ぬるい・・」
すっかりぬるくなってしまった・・・苦い、すると美煙が子供みたいに指をさして言う
美煙「あ~!!昼間っからお酒とか悪い女なんだ~!タツキちゃん」
わーわー騒ぐ美煙をほっといて冷蔵庫から二本目のビールを取り出し座って飲む、騒ぐ美煙に飲みかけの
酒をズイと出す
美煙「お?」
タツキ「美煙も飲む?冷たいよ?」
ちゃぷちゃぷと缶を揺らしながら誘ってみる、乗ってくるかな?
美煙「うんむむむむ」
なんか考え始めた。葛藤してるのかな?しばらく煙草を咥えたまま悩んだ末、顔をそむける
美煙「ミ!!」
なんか鳴き声?と共に拒否られた。なら仕方ない自分で飲もう、
グビリと冷えたビールを飲む、あ~これこれ
口の中が最高に冷えた状態でメンソールの煙をゆっくり吸い込む、口と脳みそが冷え冷えになる
タツキ「ふはー!!幸せ~」
ちゃぶ台に顔をうずめる、嗚呼この感覚が堪らないんだホント
美煙「タツキちゃん幸せそうだねぇ~」
横を見れば煙草を咥えたまま微笑んでいる美煙がいる。相変わらず髪の色が真っ白だ
タツキ「美煙の髪、白くて綺麗だよな~羨ましい」
素直に感想を言う、美煙は少し驚いたあと、たつきちゃんも染めてみれば?と言われた
染めたところで美煙みたいな綺麗な髪色にはならんだろうなぁ
銀色の長い髪に青い炎が揺らめく、何とも幻想的だ
美煙「そんなに熱心に見られると・・なんか恥ずかしい」
少し照れくさそうにする美煙、いやホントキレイなんだよな
タツキ「今の人間ってさー、漫画とかアニメとかで昔は怖がってた妖怪や魔物に都合のいい幻想抱いてさ
物語作ってんだよね、美煙ってまさにそんな世界から来たような感じするよ」
煙草を指で持ち、眺めるように美煙を見る。美煙は目をぱちくりさせながら不思議そうに言った
美煙「散々怖がっといて今は物語の登場人物かー、なんか複雑だなぁ」
美煙が不満そうな顔をして煙草の煙を吐く、当然のことだ、散々怖がって迫害して、今は都合よく解釈されて人間の娯楽になってる。迫害された者たちからしたらたまったもんじゃないホント都合いいよな人間って、まあ私も人間なんですけど
タツキ「私はね、都合がいいかもしんないけど、美煙のこと気に入ってるよ」
煙草の煙を吐きながらそう答える。美煙がキョトンとした表情のあと、こっちに身を寄せてくっ付いてくる。
美煙「私もタツキちゃんのことは気に入ってる・・煙草くれるし」
そこかよ、最後の一言いらんくないか?
そう思いながら示し合わせたように仲良く煙草の煙を吐いて、美煙が出勤するまで天井を一緒に眺めていた




