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不本意な縁組7

「この話のときばかりは、花のようにしおらしい。実に愛いな」

「ですから、妻としてあなたを愛すことは不可能です」


「それは何か問題があるか?私との間には、子を成せばよいだけだ。思い人と縁を切る必要はない。それに、奔放な姫と聞いている。生娘というわけではな……」


 寛麒の問いかけに、静の頬がみるみるうちに赤く染まっていく。流行りの遊びを見つければ奔放に遊び周りはするが、男と寝屋を共にした経験はない。寛麒の目が見ひらかれ、その後慈しみの眼差しに変わっていった。


「驚いたな」と一言。それから、周りで見守っていた碧羅の面々にも頭を下げ陳謝する。

「申し訳ない。大切なご息女のご事情をこのような場面で安易に暴くようなものではなかった」


「いや、そのくらいの恥じらいが日頃よりあればよいのだが」と邦龍が言いつのるのだった。

「とはいえ、私からすれば、ご息女の美点がまた一つ見えたともいえる。とても愛おしく思える。ぜひ祝言をあげさせていただきたい」


「そちらからの縁談ではあれば、順守するのは万物の流れであり、必定。麒鞠の王にも話をつけておいてほしい」

「そのとおりに、取り図ります」


 静が何かを言う前に、邦龍と寛麒が話をまとめていってしまう。話が終わると、寛麒は静の方に向きなおり、束ねた髪からこぼれている横髪に触れた。


「私は後でも先でもどちらでもいい。だが、婚姻すれば必ず寝屋は共にしてもらう。そなたがご自分で決断されればいい」


 静は耳が熱くなるのを感じた。「後でも先でも」の言葉には、飛鳥とのことが暗示されていると感じたからだ。寛麒は微笑み、静の耳に口付けをしてくる。静は驚きのあまりに身体をのけぞらせ、避けた。


「先が思いやられるな」

 と言って笑い、静の頭を撫でると寛麒は踵を返す。

「無礼者」

 という静のささやかな抵抗の声に、笑いながら去っていくのだった。

 静からすれば、何と食えない男に目をつけられたのか!という嘆きの思いしかなかったのだが。


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