17.山賊たちの抵抗
クロトの歓迎会は盛り上がっていた。
クロトはこの山賊たちこそが、自分の大事な仲間に遅かれ早かれなるんだと思い始めていた。
歓迎会の後半になり、酔いつぶれる山賊も増えてきた。
いきなり山賊のアジトに仮面をつけたものが入ってきた。
素早く山賊たちの中央に何者かが降り立つと、一瞬で10人の首を切り落とした。
「抵抗しないなら命の保証はする。降伏しろ」
首をはねた人物が、降伏勧告をした。明らかに行動と言葉が一致してない、おかしい。
ギドーが武器をもち、他の動ける山賊たちも武器をもち、その危険人物を囲い始めた。
「そんなに死にたいのかい?殺しは好きじゃないんだけどね」
「ふざけてるだべぇか。オラの子分を10人もやっておきながら、おかしなこと言うなべぇ」
「ちょっと挨拶しただけじゃない。これくらいで死ぬとは思わなかったのよ。」
「ちょっとだべぇか。許さんべぇ」
ギドーはその仮面をつけた相手めがけて突撃を始める。
クロトは自分の武器を装備して、自分の方にその仮面のやつが逃げてきたら1撃いれるつもりで構えていた。
でも明らかにギドーのいる方には山賊も多く、自分の方に来るとは思えなかったが念のためだ。
ギドーがあっさりと首を切り落とされた。
仮面をつけた女はクロトの方に向かってくる。向かってくる途中、手当たりしだいに山賊の首をはねていく。
クロトは明らかに強すぎる敵を前にして手足の震えが止まらない。逃げることすらできない。
近くにいる山賊たちやけになって突撃したり、逃げたりと統率が一切なくなっていた。
足の震えが止まらないが逃げ道を探す。外から仮面の仲間らしいものたちがついたらしく、
逃げ出そうとする山賊たちを次々に討取っていく。
クロトは覚悟を決めた。ここでこの仮面の敵に1撃を入れないと活路は開けない。
クロトはその仮面の敵に斬撃を繰り出すが、クロトの剣が折れる。
次の瞬間右足に激痛が走る。クロトはバランスを崩して倒れる。
仮面の敵はクロトの体に深手を何度も負わせる。
「確認できたけど、あんたはクロトで間違いないよね?」
激痛に耐えながら、頷く。
「返事は「はい」って元気に答えるように教育されてないの?」
容赦なく左足がきられて、胴体と分離する。
痛みで気絶しそうになるが、なんとか耐え
「はい」
と必死に大声で叫ぶ。
「違うでしょ。叫ぶなんて下品だねぇ」
そういうと次は右腕と胴体から切断される。
クロトは激痛に耐えながら、叫ばないように
「は…い」
と答える。
やっと満足いく返事と判断されたようで、切断した部位をクロトの胴体に
当て始める。自動修復の効果により、くっつき始める。
「どうやらギルドで聞いたスキルもちみたいだし、こりゃ本物だねぇ」
「隊長、山賊は全て掃討が終わりました。」
「そう。でも、あそこにいるのは?」
指さす方には、「助けて」と叫ぶ女子供がいた。
クロトの集落から人身売買用に拉致してきた人々だ。
「あれは山賊に見えませんが…」
「あんた、山賊はずる賢いんだよ。私も若い頃に騙されたことあるからね。
逃げ場がないとああやって、拉致された演技をするんだよ。
私が手本を見せてあげるわ」
そういうとクロトを討伐隊の部下2人に監視させ、他の討伐隊の者たちと
拉致被害者のいる檻へと向かった。
檻の中にいた女子供たちは
仮面をつけた人物が颯爽と現れ、山賊を次々に倒していく姿をみて
助けが来たと思い込んでいた。
その仮面をつけた人物が檻の前にくる。
「あんたら山賊だろ?」
「いえ違います。無理やり連れてこられた農民です」
「そう分かったわ」
仮面をつけた人物が檻の鍵を破壊する。
捕まっていた村人たちが歓喜の声を上げる。
しかし、仮面をつけた人物が入り口近くの数人の首をはねた途端に
悲鳴に変わる。
逃げ場のない檻では抵抗のしようがなかった。
あっという間に全員殺されたのだった。
檻の外でみていたものたちはその光景をみて
顔を青ざめていた。
その中の一人は檻の中に入っていった
「さすが子供まで殺すことはなかったんじゃないですか?」
「必要はあった。あんた本気でいってんの?」
次の瞬間、苦言をいった男の首が落とされる。
「賊の内通者がいたとわね。まだいるのかしら?」
その光景をみた討伐隊のものたちは内通者ではないという意味で
首を横に振る。
山賊から奪った金品を、アジトにあった馬車に積み込み。
クロトもその馬車に積み込まれた。クロトは腕と足を縛られ自由は一切ない。
そしてクロトの目の前にはギドーの生首が置かれた。
いったん、ロッキーにクロト護送の確認書類を発行して貰うため
ギルドに戻ることになった。
クロトは声には出さないが泣き始める。
どうしてこんなことになったかが分からない。
山賊は悪か善かでいえば、悪だ。でも自分を優しく受け入れてくれた。
山賊を討伐したこの集団には仮面をつけた善悪関係なく殺戮する狂人がいる。
この狂人の機嫌しだいではクロトは今回こそは生き延びる術があるかも分からない。
この狂人は隊長といわれ、その部下と思われる者たちもその狂人に対して恐れているようだった。




