〇ーグル翻訳より優秀だよ
俺ね、その日の夜。
魔王軍は絶対来るなって思ってしまったのよね。
でもさ、そんなこと思ってもほんとに来ると思わないじゃん?
いや、スキルのせいじゃないかもな?
とにかく俺のせいじゃないから。
◇
「みんなー大変だーーー!魔王軍が攻めてきたぞ」
カンカンカンカン!カンカンカンカン!
非常事態を知らせるベルの音が、町中に鳴り響いた。
どどどどどどどどどど! どどどどどどどどどど!
「大変だ!町中に魔物の群れが入ってくるぞ」
「出口をふさげーーーー!戦えるものは町の出口に集まってくれー!」
それを聞きつけた町にいる冒険者たちは、一斉に町の出口を封鎖するように集まった。
「大変、状況はどうなっているの?」
「ルビア、大変なんだ、魔王の手下たちが」
「それはもうわかっているわ、二人は?」
「アイラがロアルを呼びに行った。
おそらくまだ宿にいると思うが……」
「こんなことなら緊急時の集合場所を決めておくんだったわね。
ここ、頼める?」
「ああ、二人を必ず呼んで来いよ」
◇
「ロアル様?外が大変なんだよ?魔王軍が……」
「私が呼び寄せた」
魔王軍?俺が呼び寄せたせいじゃないからな。
「えっ?」
「ついに魔王軍の配下を打ち捨てる時が来たようだね」
ついにこの町を捨てる時が来たようだね。
「でも、敵は相当な数でやってきてますよ。いくらロアル様でも無理です」
「ギルドの冒険者を下がらせろ」
ギルドの他の冒険者達はどうしてる?
「でも他の冒険者達は、出口付近で必死に戦っています。私たちも早く加勢しないと」
「命は捨てろ、生きろ」
命あってのものだからね、死んだら元も子もない。
「敵の首を取ると?」
「そうだ」
そうじゃないよ。
「戦う、町の者を死なすな」
とにかく逃げないと、この町は危険だ。
「や、やるんだね、ロアル様……」
「ああ……」
いや。
「じゃあ私についてきて、仲間が待ってるよ」
スキル天邪鬼よ、お前うまいこと解釈して翻訳してるだろ絶対。
〇ーグル翻訳より優秀だよ。
◇
二人は宿を出るとルビアが扉の前で待っていた。
「ルビア!」
「良かった、二人とも無事だったんだね」
「でも、ロアル様、一人で行くって……」
「そうなの?ロアル」
「もちろんだ」
そんな気は全然ない。
「そう……なら止めはしないわ。さあアイラ、私たちは全力でロアルをバックアップするのよ」
「もちろん!あの盗賊にも頑張ってもらわなくちゃ」




