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何にもない村


「旅の方、よく気なすった。歓迎いたしますぞ」


「いや、ここには道すがら立ち寄っただけで。少し休んだら、すぐに出発しますので」


「そうですか……」


「この村は魔物に襲われたりしますか?」


「いんや、最近王国の冒険者たちが魔物撲滅運動をしてね。ほとんどいなくなったよ」


「へ?そうなのか?」


「確かにここまでの道に魔物は全くいなかったわね」


「ルビアの情報でも、間違うことがあるんだな」


「今の話聞いてなかったの?王国の冒険者たちが最近やつけたのよ」


「じゃあ、この辺りは安全に?」


「そうですね。今現在は危険は全くありません。王国の冒険者様達のお陰です」


「それはすごいな!」


「……」

 無心。無心。



「魔物がいないのなら、安心して王都に行けるな」


「戦う時間も必要ないなら、今日中に王都に着けちゃうかもね」


「そうね。安全が一番だわ。お金や経験値はその分得られないけど……」


「危険も悪くない。たぶん」

 それでも安全のほうがいい。絶対。


「そりゃあ、デメリットもあるだろうけど」


「ロアル様も早く着いたほうがいいでしょ?」


「そうよね、今は早く王都に着くことを優先しましょう。まだ先の道のりは長いのだから」



「なあ、今だから言えるけど……。あの村、本当に何にもない村だったな」


「そ、そうね……。あまり大きな声では言えないけれど……」


「温泉……無かったの……。スイーツも無かったの……。お洋服だって……」


「私は満足だ」

 俺も残念だ。


「確かに、み、水とかは美味しかったよな……。食べ物とかも豊富にあったみたいだし……」


「そ、そうね……」


「みんな、必死にいいところ探そうとしてるの……」


「怖い異種族がいない」

 優しい人はいたな。


「そ、そうだな……ここら一体は安全だからその点も考慮すべきだ」


「それは救いのひとつよね……」


「温泉……おスイーツ……お洋服……」



「みんな、ちょっと待って。あの先に見えるのはもしかして……」


「あれは……王国特注の鎧じゃないか?あんなものを身に着けてるのは……」


「きっと王国の戦士様だよ」


「何か、悩んでいる顔をしているな。俺の目ならここからでも見えるんだ。どうする?」


「ちょっと、話を聞きにいってみましょうか?」


「私が行こう」

 俺はここで待っている。


「お、行くか?」


「ロアル様、一人で大丈夫?」


「そうだ。一人で行く、ここで待っていろ」

 違う。みんなもついて来てくれ。


「ああ、すぐに駆け出して行っちゃった……」


「本当に一人で大丈夫かしら……」


「ルビア、心配なら見に行ったらどうだ?」


「そう?じゃあ私ちょっと様子を見に行ってくるわね」


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