王都に向かう
「この町を出てから先は王国の敷地内に入るから……。
いい?みんな、田舎者だって馬鹿にされないようにするのよ」
「わかってるって」
「りょうかーい」
「その……。ちょっと待ってアイラ、ずっと気になっていたんだけど……その恰好は何なの?」
「これ?これってゴスロリ服っていうらしいよ、可愛いでしょ」
「お前、その恰好で王都に行ったら浮くぞ」
「えー?でも洋服屋のお姉さんがよく似合いますねって……」
「それはお世辞だ、お世辞」
「そんなことないもん、お姉さんは本当の事を言っている目をしてたもん」
「それでもね……」
「やめることはない」
それはさすがにやめておけば?
「え?」
「いや、これはさすがに迷惑だろ」
「王宮に行くわけでもない、何かに使えるかもしれない」
王宮近くまで行ったら、摘発されそう。
「ロアル様……!」
「まあ、ちゃんと別の着替えを持ってきているなら、今は問題ないかもね」
「もちろんあるわよ、この中に何着も」
「仕方ねえな……みんながそこまで言うのなら。
しかしでっかい荷物を持ってきていると思ったら、中身はほとんど服かよ」
「悪い?」
「いや……」
「とてもいいよ」
「え?」
◇
「王都までは町や村を三つ経由して行くの。
何事もなくスムーズにいけば、今日の夜にでも王都に着けるかもしれないけど……」
「転移の魔法で行けばいいんじゃないのか?」
「いくら私でも、四人を一気に長距離の移動はできないわ。
道中には魔物も出るだろうし、そんなに簡単な道じゃないの」
「そうだったのか……」
「私は知っていた。危険だ」
そうだったのか……。もっと楽に行けるかと思った。
「王国方面に行くのに、むしろ危険だったのか……」
「事前に聞かなかったの?私なんてすぐにルビアに聞いたのに」
「その割には、そんな恰好をしているんだな?」
「いいでしょ?私はロッドさえ持てれば戦えるんだもん」
「はいはい、そうですね」
「じゃあまずは、近くの村に向けて出発!そこで今後どうするかを考えましょう」
◇
「なあ、村はもう少しか?」
「地図上ではこっちで合っていると思うんだけど……」
「まさかその村、すでに魔王軍によって壊滅してるとかは……ないよな?」
「やめて!嘘でもそういうこと言うの」
「ここは田舎者の来るところじゃない。そうだろう?」
ここは王国の敷地内だ、そんなことはないだろう。
「そう、だったな……すまん。王国の敷地内なら魔王軍の幹部クラスは入れないはずだったな」
「王宮の賢者様が王国の敷地内に特殊な結界を張っているのよね。
異種族はここでは力が衰えてしまうはずよ」
「魔王の幹部クラスは、大抵異種族だからな」
「わかってるなら、なんでそういうこと言ったの?」
「悪かったって……そうピリピリすんなよ」
◇
「ほら、村が見えてきたわよ」
「ずいぶんと小さいんだな……」
「文句言わないの。事情を話して、少しだけ休ませてもらいましょ」
「……」
無心。無心。
「ロアル様も一緒に休みましょうね」
「……暖かいお湯を吐き出す」
そうだな、冷たい水でも飲もうかな。
「お?それってまさか温泉のことか?」
「え、ほんとに?温泉がこの村にあるの!?」




