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王都に向かう


「この町を出てから先は王国の敷地内に入るから……。

いい?みんな、田舎者だって馬鹿にされないようにするのよ」


「わかってるって」


「りょうかーい」


「その……。ちょっと待ってアイラ、ずっと気になっていたんだけど……その恰好は何なの?」


「これ?これってゴスロリ服っていうらしいよ、可愛いでしょ」


「お前、その恰好で王都に行ったら浮くぞ」


「えー?でも洋服屋のお姉さんがよく似合いますねって……」


「それはお世辞だ、お世辞」


「そんなことないもん、お姉さんは本当の事を言っている目をしてたもん」


「それでもね……」


「やめることはない」

 それはさすがにやめておけば?


「え?」


「いや、これはさすがに迷惑だろ」


「王宮に行くわけでもない、何かに使えるかもしれない」

 王宮近くまで行ったら、摘発されそう。


「ロアル様……!」


「まあ、ちゃんと別の着替えを持ってきているなら、今は問題ないかもね」


「もちろんあるわよ、この中に何着も」


「仕方ねえな……みんながそこまで言うのなら。

しかしでっかい荷物を持ってきていると思ったら、中身はほとんど服かよ」


「悪い?」


「いや……」


「とてもいいよ」


「え?」



「王都までは町や村を三つ経由して行くの。

何事もなくスムーズにいけば、今日の夜にでも王都に着けるかもしれないけど……」


「転移の魔法で行けばいいんじゃないのか?」


「いくら私でも、四人を一気に長距離の移動はできないわ。

道中には魔物も出るだろうし、そんなに簡単な道じゃないの」


「そうだったのか……」


「私は知っていた。危険だ」

 そうだったのか……。もっと楽に行けるかと思った。


「王国方面に行くのに、むしろ危険だったのか……」


「事前に聞かなかったの?私なんてすぐにルビアに聞いたのに」


「その割には、そんな恰好をしているんだな?」


「いいでしょ?私はロッドさえ持てれば戦えるんだもん」


「はいはい、そうですね」


「じゃあまずは、近くの村に向けて出発!そこで今後どうするかを考えましょう」



「なあ、村はもう少しか?」


「地図上ではこっちで合っていると思うんだけど……」


「まさかその村、すでに魔王軍によって壊滅してるとかは……ないよな?」


「やめて!嘘でもそういうこと言うの」


「ここは田舎者の来るところじゃない。そうだろう?」

 ここは王国の敷地内だ、そんなことはないだろう。


「そう、だったな……すまん。王国の敷地内なら魔王軍の幹部クラスは入れないはずだったな」


「王宮の賢者様が王国の敷地内に特殊な結界を張っているのよね。

異種族はここでは力が衰えてしまうはずよ」


「魔王の幹部クラスは、大抵異種族だからな」


「わかってるなら、なんでそういうこと言ったの?」


「悪かったって……そうピリピリすんなよ」



「ほら、村が見えてきたわよ」


「ずいぶんと小さいんだな……」


「文句言わないの。事情を話して、少しだけ休ませてもらいましょ」


「……」

 無心。無心。


「ロアル様も一緒に休みましょうね」


「……暖かいお湯を吐き出す」

 そうだな、冷たい水でも飲もうかな。


「お?それってまさか温泉のことか?」


「え、ほんとに?温泉がこの村にあるの!?」


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