お金が貯まった
「王国直属の冒険者たちはすごかったね。私、感動しちゃった」
「いや」
ああ……。
「幹部が捕らえられたから、これでさらに魔王軍の勢いも衰えるはずだよね」
「だといいがな」
そうだね。
「こうやって魔王軍の幹部が次々と捕えられたら……その内に残りは魔王一人だけになってさ。
そしていつかその魔王も捕えることができたら……この世界は平和になるんだよね」
「そんなにうまくはいかない」
うまくいけばの話ね。
「でもね……いつかそんな日が本当に来るといいのに」
もしそんな日が来たら、そもそもスキルなんてものも不要になるのだろうか……?
戦いすら……。
◇
「……私たち、ようやくこの町に帰ってきたのね」
「短いお遊びだ」
長い戦いだった。
「おーい!」
「あっ、二人とも!」
「ルビア……。ケガはない?状況は?龍人はどうなった?
報酬は?変なこととかされなかった?」
「……そんなにいっぺんに言われても答えられないよ。
何とか大丈夫よ、結構疲れたけどね、優秀なお仲間もたくさんいたし」
「良かった……」
「ハイになれる、最高のお遊びだったぜ」
長くて疲れる、最悪の戦いだった……。
「さすがはロアルさんだ。むしろ気持ちよくなってやがるぜ……。
ケガなんてものも一つもしてねえみたいだな」
「ロアル様すごーい!」
「敵が無様だっただけだ」
仲間が助けてくれたからね。
「ひょー、言うねぇ!」
◇
「……それで帰ってきてすぐの、こんな時に言うのもなんなんだけど……。
お金が貯まったの。……今回の報酬分と今までの報酬分、あとは例の不労所得……」
「不労所得……?何のことかな?」
「私、全然知らなーい」
「労働所得、あの朝の頑張りの賜物だ」
不労所得……あの夜の分か。
「朝の頑張り?」
「まあ……今はお金の内訳の事はいいわ。
それで王都に……早ければ明日にでも行こうと思うの。みんなはどう思う?」
「そりゃあ、めでたいな」
「私は別に構わないよ。ここのおスイーツとお別れになってしまうのは残念だけどね……」
「不愉快だ、行けない」
とてもありがたい、行こう。
「そりゃあすぐには行けないよな……。なんせあの龍人と戦ってきた後なんだから」
「そうよ。明日は止めて、せめて一日ぐらい休養してから行くべきよ」
「私は遅くても構わない」
俺は早く行きたい。
「じゃあ王都に向かうのは……明後日にしましょう。
……でも王都に行って目的を果たしたら、この町にもまた戻ってきましょうね」
「そりゃあな、王都で何泊もしてたら金がいくらあっても足りないしな」
「それもあるわね。だから目的を果たすまでよ。予定では三日間。
長くてもその間に伝説の魔法使い様を見つけだして……」
「ロアル様を正常に戻して貰うんだよね?頑張ってその人を見つけなきゃ」
「そうだな、よくわかんないが、その人に会ったらロアルさんがなんか変われるんだよな?
俺も精いっぱい協力させてもらうぜ」
「とても不愉快だ」
みんな、ありがとう……。
「そ、そうだよな。今日は帰ってきたばっかりだし、ゆっくり休めよ。な」
「明日ゆっくり休んで、明後日に出発だね。王都に行く準備も早いとこしとかなきゃ」
「じゃあ、みんな、そういうことで……。
私も今日は早くに休むわ。明日は自由行動日で明後日の朝、町の広場にみんなで集合しましょう。
自由行動の日でも、王都へ行く準備はくれぐれも怠らないでね」
「よっしゃ!そうと決まったら相応の準備が必要だな。アイテムも色々ととりそろえておかないと……」
「お洋服は何を着ていこうかなぁ……」
王都に行けば伝説の魔法使いに会えて、簡単にスキル天邪鬼とおさらばできる。
そう考えていた時期が俺にもありました。
~第一章完~




