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第三十七話 告白

すみません予約投稿時間間違えました…

翌朝、朝食を終えたタロー一行はフィーの買い物に付き合うことになった。まあ特にやることもない上に今日の夜はギルドマスターや農騎士と夕食を食べることになっているのであまり遠出はできない。お世話になったリカルドのところに挨拶に行きたいところだったが時間もかかりそうだしこれは明日にすることにした。


それと不安だったことが一つある。それはポチの食事である。今まで田中一郎の作った食材ばかりを食べてきた。そのためそれしか食べないと思っていたのだが、昨日の夕食の際に試しに食べてみたところ意外といけるという感想だった。


それなら出会った時に餓死しかけていることもなかったんじゃないかと思ったが、それまで田中一郎にしか作ってもらったことがなく他の人間は逃げてしまって料理を作ってもらったことがなかったということだ。なのでトマトを食べる必要性はなくなったかと思ったがあれは思い出の味だからそういうのとは違うらしい。

まあ細かいことはどうでも良いのだがこれでポチがタローの元を離れる心配は無くなったということだろう。


「タローさん。早く行きましょう!早く行かないといいものが買われてしまいます!」


「はいはい今行くよ〜〜。ポチも早く行くぞ。今日は従魔証明用の首輪買わないといけないんだから。」


『人が多くて煩わしいが仕方あるまい。おしゃれな我に見合うものがこの町にあるかどうかは疑問だが下手なものを買われるよりかは良いな。』


そんなことを言いながらもポチは楽しそうである。今までそういった機会が少なかったから知らなかったがポチはプレゼントをもらうのが好きらしい。なんとも乙女チックな犬ころだと思ったのだが、おそらく田中一郎からいろいろなプレゼントをもらっていたことを思い出すのだろう。


「じゃあ母さん行ってきます。夕飯はギルドの人なんかと食べるからいらないや。夜は遅くなると思うから。」


「あらあらそうなの?お母さんもおばあちゃんと言われる日が近づいているのかもしれないわねぇ…」


なぜか今日の朝から母の様子がおかしいのだが今は更におかしいぞと若干引いている。今までおばあちゃんなどと言えば身の毛もよだつほどの恐怖を与えてきたというのに今は自分でそんなことを言っている。気にしたら負けだと思いその場を後にした。




「わあ!すごいすごい!!これは一体なんですか!?」


「魔道具の一種だと思うけどちょっとわかんないや。」


「お客さんお目が高い!それは新商品でしてね。ここにこうして卵をセットすると後は簡単。ここのボタンをポチッと押すだけで卵が割れるんです!しかも卵の殻は分解されて肥料にも使えます。設定すれば卵の殻座を取り除いてくれますし、黄身と白身を分けることだってできちゃうんです!」


「す、すごいです!こんな便利な機械見たことありません!!タローさんこれは買いましょう!!!」


「い、いやいや…自分で割ろうよ卵くらい…第一うちの農場じゃ卵取れないし……ポチも言ってやってくれ。」


「そ、そんな!卵を機械に内蔵すれば一度に100個まで連続で割れるんですよ!!ポチさん!!!」


『まったく……』


なんとも呆れ顔のポチである。こいつらは何をアホなことを言っているのだろうと言いたげである。なんせこの魔道具は一個で金貨10枚もするのだ。新商品と入っているもののこの店には一個しかない。入荷していないのだろう。


『人間というのは誠に変な魔道具を作るものだ……。これを買わないバカはおるまい。これほどの発想は我にもない。人間の可能性を見たな。』


どこか遠い目をしているポチ。何をそんなに感激しているのだろうと思わず突っ込みを入れたくなるが今のフィーとポチに何を言っても無駄であろう。仕方なくタローは買うことになったのだが売り手側もえ?本当に買うの?という表情をしていた。


しかし買ったのはいいのだがこの魔道具はめちゃくちゃでかい。なんせ卵を100個内蔵できるのだ。もちろん空間魔法など使っているわけはないのできちんとその分の容量が入るようになっている。そのため大きさは約50cm四方ほどある。更に様々な機能をつけているため重い。この場で収納袋を使うのは気が引けたのでポチの背に結びつけることにした。


この全自動卵割魔道具を買ったせいで商人の方もいい客だと思い更に様々なものを勧めてくる。


「お客さん!他にもいいものがありますよ。こいつなんですけどね。こいつは従来の洗濯魔道具に乾燥機能をつけ更に斜めにしたことによって取り出しやすくなった最新式の洗濯魔道具ですよ。どうです?今一番売れてますよ。」


「あ!これめちゃくちゃいいじゃん!乾燥までしてくれるからかなり便利だしこれも買おうか。」


「何言ってるんですか?ただ洗って乾燥するだけですよね?ポチさんがやってくれればすぐにできますし必要を感じません。」


『まったくだ。そんなもの誰でも考えつく。我の魔法でやればおマジことがすぐにできるわ。まったく…発想の貧困な奴はこれだから。』


「何言ってんの!?卵のやつなんかよりこっちの方が全然いいだろ!!」


「『それはない!』」


「は、はい……」


その後も掃除用の魔道具や入れただけでものを温める魔道具などを紹介されたがフィーとポチはバッサリ切り捨てた。その代わり…


「な、なんですかこれは!?ここにお芋を入れるだけで綺麗に洗えちゃうんですか!便利です!買いましょう!!」


『ほう、これは素晴らしい。ここに果実をセットするだけで皮を綺麗に剥き芯があるものはそれを取り除き、任意の個数にカットするのか。まさに奇才だな。』


何故か絶対に必要ないだろというものばかり買い始める一人と一匹。何か言うと本気で飽きれるのでもう諦めて必要経費だと思い全て買った。




「いやぁ買いました。私すごい満足です!ホールケーキカット魔道具なんて私感動しました!あれは革命です!」


『甘いな。その奥にあった瞬間たい焼き魔道具の素晴らしさの前では全てが霞む。あの焼いている時の「たすけてぇ〜」の声には我も人間の素晴らしさを感じた。』


タローはもうついていけていない。突っ込んだら負けだし放っておくことにした。ただポチの方はちょっと危ない気がする。随分昔に聞いたことがあったような気がするが記憶の奥底に封印しておこう。下手をすればどこぞのペンギン忍者に怒られそうだ。


その後服や食料を買い込んでいくが変な物を買い込むのではないかと思ったのだが意外と普通であった。昼飯はフィーのお願いで適当に買い食いをすることになった。人間の料理は少しづつヴァンパイアとは異なるようで今後の料理のレパートリーを増やしたいとのことだ。


タローとしてもありがたいのでその案に賛成し買い食いすることになったのだが一口食べたら残りはポチ行きとなっている。様々な料理を食べたいと言っていたがポチはそれでいいのかと思っていたら案外満足そうにしていた。


ポチとしても様々な料理を食べられるのは面白いらしく味的には満足できていないそうなのだが食べ物を残すことは許さんとのことで全て完食していた。その後も食材やら鉱石やらをやたらと買うものだから手持ちが心細くなっていた。まあ換金すればまだまだ余裕もあるので一度ギルドに行き、換金することになった。


「というわけで換金お願いします。」


「何がというわけなのかはわかりませんが分かりました。いくら換金しますか?」


タローは嬉しそうに収納袋の中身を探りながらいくらやるか考える。なぜ嬉しそうなのかというと受付がサチだったからだ。なんで今日はと聞いた所担当の子が病欠したので代わりとのことだ。こんなうれしい誤算はない。本当は昨日いろいろお話ししたかった所なのだが昨日は忙しかったため諦めたのだ。いろいろお話しに来たかった所なのだが用が何もなかったので諦めていたのだ。


「そういえば今のレートってどうなっているんですか?やっぱり下がりました?」


「そうですね…今は1.48倍ですね。あれだけの量が一度に入りましたしパイア金貨は基本的に使えるのがヴァンパイア王国だけですから価値が一気に下がったんです。閉鎖的な国ですから取引もしづらいんです。」


「そうですか。ではアグリ金貨100枚分になるように換金をお願いします。それにしてもサチさんのおかげでここまで成功できました。ありがとうございます。」


「そんなことはありませんよ。これもタローさんの頑張りです。私もあんな土地を紹介してしまったと後悔していたんですが成功して良かったです。それに私の方が感謝していますから。」


そう言いながらタローの取り出した金貨も入った袋を受け取るサチ。タローはチャンスが今しかないと思った。今ここで食事に誘うしかないと。ここまで成功したタローだったら十分にサチに見合うだけの男になれたのだと。ここでやらねば男がすたると思い気合を入れ声をかけようとしたその時ある輝きが目に入った。


「さ、サチさん?その手のって……」


「あ、えっと…タローさんは忙しいと思って声をかけられなかったんですが実は私去年結婚したんです。」


「はへ??」


タローが見た輝きとはサチの左手に輝く指輪だった。そして驚愕の真実。サチが去年結婚したという信じられない真実。


「お、お相手は…」


「実はその…ジェイクなんです。」


顔を真っ赤にさせながら答えるサチ。その答えを聞き顔が真っ青になるタロー。どういう経緯かタローが聞く前にサチは語り出した。


「タローさんを送って帰ってきたジェイクさんに睡眠薬のことで怒られてしまって。ああ!そういえばそのことについて誤っていませんでした!その節は本当にごめんなさい。それがギルドマスターにも伝わってしまい危うくクビというところまでいったんですけど、その時ジェイクさんが必死に庇ってくれましてその時に私の方が……。意外とそういうところで熱くなる人で不意に笑う笑顔が素敵で…って私何言っているんでしょうか!すいませんこんな話。すぐに換金してきますね。」


「あ…はい。」


真っ赤な顔をして恥ずかしそうに去っていくサチ。奥の部屋まで去っていくのを見届けたところで椅子からずり落ちるタロー。あいた口が塞がらないという言葉があるがまさにタローはそれを体現している。

そんな様子を後ろから見ていたフィーとポチはそっと肩を叩き慰めた。


その後いろいろやりとりがあったが全く頭に入ってこない。ただわかるのはサチが幸せそうにジェイクとのことを合間合間に話してくること。その度に心に大きな傷を負っていくのだが顔には出さないように細心の注意を払っていた。


全て終わりギルドの外に出たタローはその場で膝をついた。それを邪魔だからとかかえるようにして運ぶフィーとポチとともに町の喧騒の中に消えていった。





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