第76話 玉座への道
私の小説に目を留めていただきありがとうございます。この話から第89話までで完結です。闇の王と激突する5人の仲間たちの運命は? どうぞ楽しんでください!
――いま、五人の仲間の前に不気味にそびえ立っているのは、闇の王グラトスの居城だった。その名を知る者はいない。ただ、城門は不敵にも開け放たれていた。
「……なんだこれは? 罠か?」
エイミーを馬留に残していたローレンが、隣でルドルフを繋ぐミセルに小声で尋ねる。
「いや、違うな。この期に及んで“もはや小細工は不要”という意思表示だろう。」
ミセルも声をひそめて応じた。そして――
「みんな、これより我々は、この城門から一気に本丸を目指す! 途中、何が起こるか分からない。油断はするな! 必ず五人で、ここまで帰ってくるんだ! いいな!!」
「応っ!」
全員が拳を突き上げ、力強く応じた。
――
ミセルには「グラトスはもはや罠など仕掛けてこない」という確信があった。だが同時に、戦場における慢心や憶測こそが命取りになると、誰よりも知っていた。
だからこそ、慎重に、さらに慎重に歩を進めた。
そして仲間たちは、ついに無傷のまま本丸の門前にたどり着いた。ほどなく――
ギィ……。
入り口が独りでに軋んで開いた。その音は耳障りなほどに湿っていた。
「闇の王様は、どうやら俺たちを歓迎してるらしいな。」
ローレンが緊張の中で、おどけて言った。
「そのようだな。」
ミセルが苦笑を返す。
「よし。私が先頭で入る。続いてローレン、サトリ、アモンの順。しんがりはリーナだ。頼んだぞ。」
「まかせて!」
リーナが気丈に頷いた。
ミセルは静かに、だが力強く、第一歩を踏み出した――。
――
本丸の中は、凍てつくような静寂に満ちていた。空気はねっとりと絡みつき、不吉な気配が皮膚にまとわりついてくる。
城の構造に通じるミセルは、すぐに玉座の間がある最上層への階段を見つけた。
一段、また一段。
上がるたびに、空気は濃密になり、死の静寂は闇の気配へと変貌していった。
「……そろそろ宝具を顕現させたら?」
アモンが不安そうに尋ねる。
「いや、まだだ。我らの宝具は切り札。温存しておこう。」
「それにしても……気持ち悪いわね。この空気、息が詰まる。」
リーナが顔をしかめる。
「とっとと終わらせて、馬の元に帰りたいもんだな。」
ローレンもやや気圧されているようだった。
サトリは沈黙を保ちつつも、その瞳はどこか輝いていた。
――今こそ、自分に課された使命を果たす時。そんな決意の光が宿っていた。
そしてついに、五人は最上層へと到達した。
玉座の間の扉は、まるでそこが唯一の終着点であるかのように、圧倒的な存在感で彼らを待ち受けていた。
五人がその前に並び立った瞬間――
地の底から響くような、不気味な声が城内に満ちた。
「……よく来たな、人間の勇者ども。さあ、我が玉座へ進むがよい!!」
※馬留:乗ってきた馬を繋ぎ止めておく場所や施設




