第68話 宝珠の謎
「光、消えちゃったね……」
リーナが名残惜しそうに呟いた。サトリもがっかりした表情で、消えた光の余韻を見つめている。
「でも……みんなの光は、ちゃんと残ってるよ。」
アモンがぽつりと口にした。
「えっ?」
リーナがサトリの胸元を覗き込む。続いて、ローレン、ミセルと順に目をやる。四人は互いの胸元を見比べたが、何も見えない。
「アモン……僕たちには見えないみたいだよ。」
サトリが不思議そうに言った。
「おかしいなあ。おいらにはちゃんと見えるんだよ。しかも――その光の意味も、なんとなくわかるんだ。」
「リーナ姉ちゃんは“義”、ローレンは“信”、ミセルは“忠”、そしてサトリは“仁”だよ。サトリの光が、一番明るい。」
静寂が落ちた。
アモンは無邪気に語っただけだったが、他の四人は戸惑いを隠せなかった。その言葉が何を意味するのか、簡単には受け止めきれなかったのだ。
沈黙の中、ミセルが立ち上がり、きっぱりと言った。
「もう夜も更けた。謎の光も、アモンの話も――続きは明日にしよう。今夜は休もう。」
皆は頷き、それぞれ眠る準備を始めた。
――
翌朝、皆は早く目を覚ました。外はまだ雪が舞っていたが、風は収まりつつある。
ローレンとミセルは相談し、謎の光の解明を最優先することに決めた。
まず、サトリとリーナが語ったのは、ロトの言っていた「徳の宝珠」と「宝具」についてだった。そして、改めてアモンの話を聞き直す。
「ふむ……アモンの胸に灯っている光。それは“徳の宝珠”で間違いないだろう。」
ミセルがローレンに確認する。
「ああ、そう思う。俺たちの胸にあるというのも同じだろう。なあアモン、まだ光ってるか?」
「うん、光ってるよ。でも昨日よりちょっと小さくなってるかも……」
「まずいな。急がないと。だが――どうすればいいのか……」
ローレンがミセルを見た。
「我々の“徳”を覚醒させ、それぞれの宝具を顕現できれば、戦力は飛躍的に上がる。だが、それは雲をつかむような話だ……」
現実主義のミセルは、曖昧な力に期待することに慎重だった。
「だめよ、ミセル! 諦めちゃ!」
リーナが声を張った。
「アモンは覚醒したの。私たちにできないはずがない。もっと詳しく話を聞いて、ヒントを探しましょう。」
「そうだよ、ミセル。挑戦してみよう!」
サトリも力強く言った。
ミセルとローレンは顔を見合わせ、ふっと笑った。
「“信”の行商人よ、どうやら子どもたちの方が正しいようだな。」
「まったくだな、“忠”の騎士様。」
五人は輪になって座り、アイデアを出し合い始めた――。




