表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
66/89

第66話 アモン、奮闘す

その声は、シレーヌの脳裏(のうり)にも響いていた。


「な、なんだ……この声は!?」


一瞬たじろぐ彼女。その隙を、アモンは見逃さなかった。全身の力を振り絞り、シレーヌの腕の中からもがき出る。


「石って……このペンダントのことだよな。どうすれば(こわ)せる?」


距離を取りながら、アモンは必死に考える。シレーヌは体勢を立て直し、すぐさま手を伸ばして追ってきた。


「そうだ……!」


荷馬車への道は一直線。アモンは迷わず駆け込むと、荷台に飛び込んでゴソゴソと何かを(さぐ)り始める。


やがて、シレーヌが追いついた。


「アモン様、手間(てま)をかけさせないでください。さあ、ご同行を――」


その時だった。荷台から飛び出したアモンが御者台(ぎょしゃだい)に飛び乗り、仁王立(におうだ)ちとなる。(りょう)の手には、それぞれ何かを(にぎ)っていた。


「見ろ、これを!」


左手には、彼の首から()げていたグラトスの黒曜石(こくようせき)のペンダント。

そして右手には――くるみ()り。


「フフ……何をするおつもりですか? そのペンダントの加護(かご)があったからこそ、私の(じゅつ)から(のが)れられたのに。その加護を捨てるとでも?」


シレーヌはニヤリと笑い、ゆっくりと歩を進める。


アモンは分かっていた。このペンダントが自分を守っていたことも、壊せば術に飲み込まれるかもしれないことも。けれど――


(それでも、おいらは……信じたいんだ。あの声を!)


アモンはくるみ割りにペンダントを(はさ)み、(さけ)んだ。


「えいっ!!」


だが、黒曜石は(かた)い。彼の小さな手では簡単に割れない。

「えいっ、えいっ……!」何度も力を込め、アモンの顔は真っ赤になっていく。


「それそれ。もっと頑張らないと、割れませんよ?」

シレーヌがあざけるように笑う。


それでもアモンは(あきら)めなかった。(ふる)える手に力を込め、声にならぬ(さけ)びとともに(いの)る。


(神様……おいら、今まで信じてなかった。でも……お願いだ、力を()して! (ばつ)はあとで受けるから……今だけ!)


その瞬間――


ペンダントにピシッと音が走った。黒曜石に細かな亀裂(きれつ)が走り、アモンは渾身(こんしん)の力を込めて――


「うおおおおおおおっ!!」


――パリーン!


ペンダントはついに(くだ)()った。


同時に、アモンの胸元からまばゆいばかりの光がほとばしる。闇を()くようなその光は、あたりを包み、シレーヌの目をくらませた――!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ