表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
59/89

第59話 再戦

アモンは、風に()う灰の向こうから姿を現した。意気揚々(いきようよう)と。


「すごいわ、アモン!」

「よくやった!」

「ハラハラしたよ。」

「まったく、無茶(むちゃ)しやがって……」


仲間たちは次々に声をかけた。アモンはおどけたように肩をすくめ、笑みを浮かべる。


「さぁ、あとはみんなの仕事だよ。」


「――ああ、(まか)せておけ。」ミセルが力強(ちからづよ)く答えると、すぐさま地面に棒で線を引き作戦を(つた)え始めた。


---


・・・狂戦士(きょうせんし)グレイムは、ライオンのたてがみのような(みだ)れた(かみ)を振り、腕組(うでぐ)みをして()(かま)えていた。

三度目の対戦――決着の(とき)である。


「ふん、()りずに来たか。その(おろ)かさ――いや、勇気だけは認めてやろう。」

グレイムの声には傲慢(ごうまん)さと狂気(きょうき)(にじ)んでいる。


貴殿(きでん)寛大(かんだい)なお言葉、感謝する。」ミセルは冷静に(おう)じた。「だが、今回はこちらも手加減(てかげん)はしない。」


()()の言わず、かかって来い!」

グレイムが咆哮(ほうこう)し、地面を()らしながら突進(とっしん)してきた。


ミセルが前に出て剣を(かま)える。その背後(はいご)では、リーナが音もなく回り込む。正面にはサトリが弓を構えていた――

だが、今回は違う。サトリは初戦(しょせん)よりもずっと前方から矢を(はな)ったのだ。


「ほう……その矢で“闇の石”を(ねら)うか。面白(おもしろ)いじゃねぇか。」

グレイムは笑いながら、左手で顔を(かば)う。右手には、あの巨大な(おの)(すき)()くには、まさに今しかない。


ミセルはグレイムの顔から意識を(はな)すよう、剣撃(けんげき)()り出した。

(つづ)いて、リーナも小刀(こがたな)(ふと)ももを(ねら)う。彼女の攻撃は最初、(うろこ)のような皮膚に(はじ)かれた。だが、(まよ)いはなかった。執拗(しつよう)に、正確に――繰り返された連撃(れんげき)(すえ)、一枚の(うろこ)がはがれ落ちる。


「今だ!」

リーナは()いた隙間(すきま)小刀(こがたな)()()てた。


(いた)っ……小癪(こしゃく)小娘(こむすめ)め!」

怒号(どごう)と共に、グレイムの意識がリーナに向いた――その刹那(せつな)


ミセルの剣が(ひらめ)いた。

グレイムの右腕――(おの)を握る手を、深く()()いた。


「いまだ!」

「サトリ、お願い!」


ミセルとリーナが声を(かさ)ねる。

サトリは静かに息を(ととの)えた。まるで、笛を吹くときのように。


弓を引き絞り、(はな)つ。矢は(するど)(くう)()き、グレイムの顔へ――


「ギャアアアッ!!」

悲鳴が(あた)りに響き渡る。

矢は、グレイムの左目に命中していた。


彼は両肘(りょうひじ)を地面に()き、天を(あお)いで(さけ)び続ける。


「――そこだっ!」

ミセルが馬上(ばじょう)から飛び降り、最後の一撃(いちげき)(はな)つ。

その剣は、(まよ)いなくグレイムの(ひたい)の中心に突き立てられた。


何かが――(くだ)けた。

ミセルの腕に、その手応(てごた)えが伝わる。


「グ、グワァァァァ……ッ!!」


断末魔(だんまつま)の叫びと共に、グレイムの身体(からだ)はどす黒い(きり)となり、(そら)へと()けていった。


「おのれ……この俺を……(たお)すとは……だが、この先には……まだ“地獄(じごく)”が待っているぞ……」

その声だけが、空間に()()るように響いた。


そしてすべてが消えたあと。

その場には、(くだ)けた灰色のダイヤ型の石が、ひっそりと転がっていた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ