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第49話 ハロルドの告白

「なんだって!?」

ローレン、サトリ、リーナの三人が(そろ)って声を上げた。ミセルだけが静かに、アモンの顔を見つめる。


偽物(にせもの)って、どういう意味だ?」

ローレンがアモンに()め寄った。


アモンは肩をすくめ、苦笑(にがわら)いを()かべる。


「その地図の()みはね、お茶でつけたもんさ。汚れも(すす)も、火を使えば簡単に作れる。手が込んでるが……偽物(にせもの)に間違いないね。」


「アモン、なんでそんなこと分かるの?」

リーナが(いぶか)しげに(たず)ねると、アモンはちょっと得意げに鼻を()らした。


「だってさ、おいら昔、偽の宝の地図を作って商売してたんだよ。古地図風にする(わざ)なんて朝飯前さ。」


一同は(あき)()てた表情を浮かべる。しかし、ローレンだけは表情が(こお)りついていた。


(……アモンの言うことが本当なら、ハロルドは俺を(だま)そうとした? まさか……あのハロルドが……)


---


それから数日間、ローレンは街中を奔走(ほんそう)した。ハロルドの話の真偽(しんぎ)を確かめるために、関係者を(たず)ね、記録を調べ()くした。


結果、彼の借金については事実と判明したが――未採掘の金山(きんざん)、そしてその場所を示すという古地図については、信憑性(しんぴょうせい)のある情報は何一つ(つか)めなかった。


(……やはり、ハロルドは俺を(だま)そうとしたのか。だが、どうして……? あいつがそんな真似(まね)を……)


(まよ)いと痛みを押し殺し、ローレンは決断した。親友としてではなく、一人の人間として、向き合わなければならないと。


---


ハロルドの店の奥、居間にて――。二人は向き合い、沈黙の中に緊張が満ちていた。


「ローレン。今日は、いい返事が聞けると思ってるぞ。」

ハロルドの声は明るいが、どこか無理をしているように感じられた。


ローレンは苦悩(くのう)の表情で目を()せたまま、口を開いた。


「……すまない。ハロルド。お前の話には乗れない。」


短い沈黙。そして、ハロルドは軽く笑った。


「そっか。お前が(ことわ)るってんなら、よっぽどのことなんだろうな。……わかったよ。この話はなしだ。」


あまりにもあっさりと引いたことに、ローレンは戸惑(とまど)った。


「お前、借金のことは……それでいいのか?」


「……ああ。この話が駄目(だめ)だったときのことも考えてたさ。俺だって、師匠(ししょう)弟子(でし)だぜ?」


(つと)めて軽く振る舞おうとするハロルドの様子に、ローレンは胸を痛めた。


「……ハロルド。差し支えなければ、その手段を教えてくれないか?」


ハロルドの表情が一変(いっぺん)した。しばしの沈黙の後、苦悶(くもん)の表情を浮かべ、声を(しぼ)り出す。


「……娘を、エルべの(もと)へやる。()わりに返済(へんさい)猶予(ゆうよ)してもらう約束だ。背に腹は代えられない……」


そして、ゆっくりと続けた。


「ローレン……(じつ)は俺、お前を(だま)そうとした。(にせ)の古地図を使ってな。本当にすまなかった。お前が城塞都市(じょうさいとし)大儲(おおもう)けしたって話を聞いて、つい、()が差した……。俺は……俺は、最低だ……」


ローレンは、泣きながら()びる親友を、呆然(ぼうぜん)と見つめていた。しかし、すぐに(われ)に返り、強く言った。


「……ハロルド。お前、俺の仲間に会ってくれ。何か、他の(みち)が見つかるかもしれない。きっと……きっと何かある。」

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