表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/89

第47話 親友

・・・荷馬車を(ぎょ)しているローレンの横顔(よこがお)がニヤニヤしているのが、(となり)に座っているリーナには分かった。リーナはその理由をたずねた。


「なにか、いいことでもあるの?」


「ああ、次の街にはハロルドっていう行商の兄弟子(あにでし)がいてさ――いや、今じゃ親友って呼ぶほうがしっくりくるな。そいつが店を(かま)えてるんだ。久しぶりに飲めると思うと、どうしても顔が(ゆる)むのさ。」


ローレンは楽しげな声でそう言った。リーナはふと目を()せ、ほんの少し、(さび)しげに笑った。


「そう……あなたの夢を、先に(かな)えたのね。私にも会わせて。どんな人か、知りたいから。」


そう言って、リーナは無理に元気な声を作った。


---


次の街が近づくにつれて、街道は荷馬車や旅人(たびびと)(にぎ)わい始めた。この街が大きいということもあるが、収穫の秋を(むか)え、様々(さまざま)物資(ぶっし)()()っているせいでもあった。


街に入り、宿(やど)を取った一行に対して、ローレンが開口一番(かいこういちばん)こう言い(はな)った。


「今日は自由行動!冬の準備は明日でいい。悪い、俺はこれから大事な用があるんでな!」


そう言うが早いか、彼はぱたぱたと荷物をまとめ、宿の玄関を飛び出して行ってしまった。


()いてきぼりを食らったリーナはむっとしたが、すぐに自分に言い聞かせる。


(「今夜は水入(みずい)らずで、ってことね……」)


そして()を取り直して、サトリとアモンを街歩(まちある)きに(さそ)った。一人残ったミセルは、ため息まじりにつぶやいた。


「まったく、子どもみたいにはしゃぎおって……」


それでもどこか楽しげに、彼女もまた酒場(さかば)へと足を向けていった。


---


ローレンが見覚えのある(かど)を曲がると、そこには素朴(そぼく)ながらも立派(りっぱ)な商店があった。木造(もくぞう)看板(かんばん)には金色(きんいろ)の文字で「ハロルド商店」と書かれている。


その前で、茶色の前掛(まえか)けを()めた、ローレンと同じ年頃の男が威勢(いせい)よく呼び込みをしていた。


「おい、ハロルド!」ローレンの声が、自然と大きくなった。


「おお、ローレンか!」


二人は笑顔で駆け寄り、力強く抱き合った。


相変(あいか)わらず元気そうだな、ハロルド。」


(ひさ)しぶりだな、ローレン。お前も元気そうで何よりだ。――まあ、中に入れよ、話をしようぜ!」


ハロルドは手伝いの小僧(こぞう)に店を(まか)せると、住宅を()ねた店内にローレンを(まね)き入れた。


---


「へぇ、それゃ大変な経験だったな。」


ローレンから、サトリたちと旅をすることになった経緯(けいい)と、道中(どうちゅう)出来事(できごと)を一通り聞き終えたハロルドは、心底(しんそこ)感心したようにうなずいた。


「でもその経験は、お前さんの商売の腕をずいぶん上げたと思うぞ。それに、その仲間たちってのも(たから)だ。師匠(ししょう)も、きっと喜んでることだろうさ。」


「ああ、わかってるさ。」


ローレンは少し()ったような口調(くちょう)でそう答えた。


短い沈黙(ちんもく)のあと、ハロルドがジョッキを()らしながら、やや遠慮(えんりょ)がちに言った。


「……ノーマンズランドに行く前にさ、一発、大勝負(おおしょうぶ)してみないか?」

小僧(こぞう):商店などで雑用や使い走りをする年少(ねんしょう)の男の子

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ