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少年シュペアの冒険譚 〜無自覚に最高峰を目指す〜  作者: 武天 しあん
エトワーレ騎士団

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213/455

211. 陛下からの呼び出し


「シュペア、大丈夫だよ。落ち着くようにカモミールのお茶を淹れてあげよう。」


領主様は魔術でお湯を出してお茶を淹れてくれた。


「どうぞ。熱いからか気をつけてね。」

「うん。」



コンコン

「エドゼルです。」

「どうぞ。」


「おはようシュペア〜今日も可愛いねー

って元気ない?大丈夫だよ。お兄ちゃんが付いてるから。」

「おはようございます。エドゼルお兄ちゃん。」


「迎えに来たよ。お兄ちゃんが抱っこして連れてってあげようか?」

「1人で歩けるから大丈夫。」


「それは残念。じゃあ手繋いで行こう。」

「うん。」


「ウィルさんも同席するでしょ?」

「あぁ。私の部下だからな。

さぁ行こう。」



僕は緊張しながら王様の執務室に向かった。

王様の執務室に行くのは、荒野の遠征の説明の時以来2度目だ。


執務室に入ると、王様と宰相とロドリック王子と団長がいた。



「シュペア、あのペンは本当に素晴らしいな。良い品をありがとう。」

「はい。勿体なきお言葉嬉しく思います。」


「元気が無いな。ここではそんな丁寧な言葉を使わなくていいんだぞ。」

「はい。」


「シュペア座ろう。」

「はい。」


僕はエドゼル様と領主様の間に座ることになった。



コンコン

「ヒュギエーネ様をお連れしました。」

「入ってもらえ。」


「ご無沙汰してます。陛下、皆様。」

「久しいなエーネ、息災のようで何よりだ。そこに座ってくれ。丁寧な言葉など要らん昔のように話してくれていい。」


「エーネさん、僕、エーネさんにも迷惑かけて、ごめんなさい。」

「シュペア、わしは面白いものを見せてもらって久々にワクワクしたんじゃ。迷惑などと思ってないから安心しなさい。謝る必要もないよ。」


「団長からはシュペアが中級ポーションを作ったと聞いた。私にはそれのどこが大変なことなのか分からないが、説明してもらえんか?」

「わしが説明しよう。

ダイターは初級ポーションは知っておるな?」


「あぁ、もちろんだ。」

「初級ポーションには、薬草が2種類使われる。どちらも森の浅い場所や畑の脇など、どこにでも生えている簡単に手に入る薬草じゃ。

手順も、乾燥した葉を煮出したものと、擦り潰した葉を混ぜるだけじゃ。」


「そうなのか。それだけでできるのか。」

「だから価格も小銀貨1枚で2本買えるほど安い。比べて中級ポーションは1本で銀貨2枚じゃ。」


「それほど値段に差があるんだな。」

「中級ポーションには、生息地が限られる希少な満月草という薬草が含まれる。エトワーレではパリスタとの境にある山で採れるが、崖の途中に生えていて満月の夜にしか採れない。危険も多いからなかなか入手するのが難しい薬草じゃ。冬の間は山へ入れないし、その薬草自体が出回らない。

そして製造過程も、手順が複雑で薬師でも失敗することがある。」


「ん?それでもシュペアは作ったんだよな?」

「その作り方が問題なんじゃ。

シュペアは初級ポーションに使うどこにでも生えている薬草2種類しか使っていない。

そして、初級ポーションの手順で作ったにも関わらず、中級ポーション、それも通常のものより効果が高いものができた。」


「なに!?そんなことができるのか?」

「できてしまったんじゃからか面白い。しかも、本を見ながら初めて作ったんだと。薬師泣かせじゃなぁ。」


「ほぅ、確かにこれは陛下案件ですね。

誰でも再現できるのかシュペアだけができるのか、誰でもできるのなら価格破壊が起きますし、シュペアだけができるのなら、シュペアが狙われる。」

「父上、今回は私が対応するとのことでしたが、これは世の中に与える影響が大きすぎて、私には難しそうです。」


「私にも判断が難しい。どうしたものか。」


「さっきコーエンが言ったように、誰でも再現できるのか、シュペアだけができるのかは調べる必要があるじゃろう。

それに、毎回同じように効果が高いものができるのかも調べてみたい。

この実験、わしにも参加させてほしい。」

「エーネの言う通りだな。最高位の守秘の元でエーネとシュペアを中心に実験を命ずる。」


「そうですね。その結果で対応は考えましょう。」

「ちょうど団長もシュペアの上司のウィルもいることだし、ここでシュペアの実験参加の許可を取りたい。」


「シュペアは薬師の経験を積んでいるわけではない。それにまだ未成年だ。実験に参加をするのは構わないが長時間の拘束は許可できない。」

「大丈夫じゃ。初級ポーションは3時間あれば作れる。午前午後で1回ずつ作って、それを3日も繰り返せば結果は出るじゃろう。」


「そうか。それなら、本人の意思に任せる。私は反対しない。

シュペアはどうしたい?」

「僕は・・・エーネさんと実験します。僕がやらないといけないんだよね?」


「そんな泣きそうな顔をされると実験に参加させるのが可哀想になってしまうな。」

「シュペア、お前さんが重荷を背負う必要はない。

わしは実験を楽しんでやる。シュペアも楽しんでやればいいんじゃ。どんな結果になっても、それは大人がどうにかする話でシュペアが心配することは何もない。

空いた時間にちゃんとした初級ポーションの作り方も教えよう。」

「うん。」


「よし、私も参加しよう。

お兄ちゃんが一緒だから大丈夫だぞ〜」

「エドゼル、お前は3日も執務を放棄する気か?」


「大丈夫です。僕1人で。エーネさんと一緒なら大丈夫。」

「そうか。でも途中で様子は見に行くからな。」




僕は話が終わると退室して、領主様と一緒に中隊長室に向かった。


「シュペア、ポーションを作っているときは楽しかったか?」

「うん。上手くいくか分からなかったけど、楽しかった。でも・・・。」


「楽しかったならよかったな。

シュペアは色々なことを経験して、色々な知識をつけて、それを楽しんでやれることは素晴らしいことだ。

もし、今回のことが誰にでもできる方法だとしたら、今まで助からなかった人たちが助かる。それは凄いことだ。

シュペアしかできない方法だとしたら、シュペアは特別な力を授かったということだ。どちらにしてもシュペアが凄いということだ。」

「うん。」


「また余計なことをしたんじゃないかと悩んでいるのか?」

「え?なんで分かったの?」


「小さい頃に言われてきたんだな。何かをする度に。

世の中に余計なことなんてないんだよ。

私はシュペアが悩む度に何度でも言おう。

シュペアは余計なことなど1度もしていないと。だから大丈夫だ。

前に言ったが、辛いときはみんなで分けて持てばいいんだ。苦しいならそれは私が半分持とう。シュペアはやりたいようにやればいいんだ。」


領主様はそう言って僕の頭を撫でてくれた。

やっぱり領主様の手は温かくて優しくて、僕はやっと息がちゃんとできた。



閲覧ありがとうございます。

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