233 強いねえ 凄いねえ ありゃ尻に敷かれるねえw
カシャーンカシャーン
相変わらずピカピカ光るおもちゃの刀で撃ち合っている父さんと足利さん。これがまたただ撃ち合っているだけでもない。父さんは右手で持ったおもちゃの刀を高々と突き上げ、左腕を横に伸ばして「イヨー」とか言って、喝采もらっている。足利さんは撃ち合った後に何とバック転を披露。さすがは現役警察官。これは大喝采。
「新田さん、足利先輩。無届のイベントを直ちに中止してください」
おお、足利さんの後輩女性巡査の高さんが拡声器で呼びかけたぞ。
しかし、父さんも足利さんもおもちゃの刀撃ち合いショーに夢中でスルーだ。
「えー、こほん」
あ、今度はエリスが拡声器持ったぞ。
「地球=ケンタウリ帝国初代皇帝エリス一世の名において命ずる。お父上、おまわりちゃん、二人だけで遊んでいるじゃない。すぐやめよ」
これもまた、相変わらずおもちゃの刀撃ち合いショーに夢中でスルーだ。
「警告を無視されたと判断する。お父上、おまわりちゃん、二人だけで遊ぶのを1マイクロ秒以内にやめないと地球=ケンタウリ帝国はお父上とおまわりちゃんを攻撃するぞ」
うわー待て待て待て。1マイクロ秒って1秒の百万分の一だし、無理だってそんなの。そりゃエリス自身が攻撃するんなら、大したことは出来ないよ。だけど地球=ケンタウリ帝国って言ったよね。それじゃあR-1号やR-2号が出てくるじゃん。怪我人でるだけすまないよ。
「攻撃開始!」
◇◇◇
「えっほえっほえっほえっほ」
現れたのは消火用の大型ホースをかついで現れた女性三人。先頭はエリス、次に女性巡査高さん、最後にインフォメーションのお姉さん。
「発射!」
ドバババババ
勢いよく水が噴き出し、父さんと足利さんを直撃。
「わー」
「わー」
倒れこむ父さんと足利さん。近くで見ていた人たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、遠巻きにして再度見ている。
「やめー」
止める合図はエリスではなく高さん。
「ではすみません。ホースの方をお願いします。行きましょう。絵栗鼠ちゃん」
「皇帝陛下であるこのあたしを放り出して、二人だけで遊んでいるとは不届き千万。討伐してくれるわ」
ホースの片づけをインフォメーションのお姉さんに託し、勇躍乗り込む高さんとエリス。怖いです。
◇◇◇
ずんずんずんずん
即席コンビとは思えない貫禄で、父さんと足利さんに向かって歩く高さんとエリス。びしょ濡れで呆然としている父さんと足利さん。
「新田さんっ!」
高さんが父さんを一喝。
「無届けのイベントは即座に中止してください。いいですね?」
「はっ、はひ」
バサッ
そして、びしょ濡れの足利さんに大きなタオルをかける高さん。
「イベントは中止になりました。帰りますよ。足利先輩」
「はっ、はひ」
かくて高さんはタオルをかけた足利さんの襟元をつかむとずるずると引っ張っていった。
その後ろ姿を見守る老谷のじいちゃんと三太さん。
「凄いねえ」
「凄いねえ」
「強いねえ」
「強いねえ」
「ありゃ尻に敷かれるねえ」
「ありゃ尻に敷かれるねえ」
◇◇◇
「お父上。お父上ばかりおまわりちゃんと遊んでいてずるいのだ」
「いやあごめんごめん。絵栗鼠ちゃん」
他の方を見れば、エリスが父さんをお説教中。傍から見ていると小学生女子とお父さんの会話だけど、高さんからイベントは中止って言われたよね。帰ろう。父さん。
「いやちょっと待て。オキムネ。アールイチゴウさん。こういうのを出してくれ。何枚か」
R-1号は画面を見ると、エリスに尋ねる。
「エリス様。出シテモヨイデスカ?」
「よきにはからえ」
がしょんがしょんがしょんがしょん
R-1号が出したのは車の拭き上げクロス。
「ちょうど洗車しようと思っていたところだ。オキムネ。手伝え」
父さん、転んでもただじゃあ起きないねえ。




