232 せっかくこのあたしが「皇帝たるこのあたしを倒してみせよ」と言っているのに、お父上とばっか遊んでいるんだぞーw
「ぬおおおおおおー」
パトカーから降り、父さんの痛車トラクターに向かって、突進する足利さん。
「新田先輩、御用御用っ!」
それに対して、父さんは痛車トラクターから降りて、
「おほほほほ。捕まえられるものなら捕まえてごらんなさい。おほほほほ」
何なんですか。父さん。そのノリは?
◇◇◇
かくて痛車トラクターの前で対峙する父さんと足利さん。
ゴクリ
固唾を飲んで見守る周囲。
「はいはいはいはい。危ないからこの線より中に入らないでね」
「はいはいはいはい。踊り子さんには手を触れないで。おひねりは大道芸が終わってから投げてね」
なんかもうノリからのイベント設営が魂に刻み込まれているのか、老谷のじいちゃんと三太さんの行動は素早い。
さっき二人揃って「このわしも倒してみよ」と足利さんに言ったことは既に忘却の彼方。そして、当然のごとくその流れを受け入れる足利さんも凄い!(のか?)
◇◇◇
いつの間に用意したのか、父さんはおもちゃの刀を二本。ピカピカ光るやつ。一本を足利さんの足元に投げる。
それをニヤリと笑って拾う足利さん。もうすっかり警察官としての職務を忘れていますね。
両者、ピカピカ光るおもちゃの刀を持って、にらみ合い。
ちゃちゃちゃーら ちゃちゃちゃーら ちゃちゃちゃー
何とここでR-2号がスター〇ォーズの音楽を。もはや何でそういうことだけ即時に対応できるのかとツッコむ気にもならん。
うおおおおー
しかし、周囲は盛り上がる。インフォメーションのお姉さんはもはや涙も枯れ果てた脱力状態。しかし、このイベント続行を止めるのは。うーむ。難しい。
カシャーンカシャーン
キラキラ光るおもちゃの刀で打ち合う父さんと足利さん。
「足利。おまえの父は私だ」
「嘘だ、嘘だ、そんなわけない。だって新田先輩とは二歳差じゃん」
「足利。黙っていたが、私の正体は『猫』なのだ。だから二歳差でも『私はおまえの父だ』」
ああもう、スター〇ォーズのファンが聞いたら怒るよ。何その酷いパロディーって思っていたら、スター〇ォーズのファンよりも怒っているのがいた。
「オキムネ~」
◇◇◇
うわ、何怒っているの? エリス。
「だってあのおまわりちゃん。せっかくこのあたしが『皇帝たるこのあたしを倒してみせよ』と言っているのに、お父上とばっか遊んでいるんだぞー。何とかしろ。参謀総長。何とかしろ。オキムネ」
エリス。「おまわりちゃん」とは何ですか。「おまわりちゃん」とは。ちゃんと「おまわりさん」と言いなさい。それにしても老谷のじいちゃんと三太さんとは違って、自分が主役じゃないと気が済まないところもあるのね。まあ一応「皇帝」だしねえ。
「分かったから、オキムネ。何とかしろ」
わあっ、首を絞めるな首を。それにしてもどうしたもんかなあ。周囲はみんな盛り上がっているし、老谷のじいちゃんと三太さんはきっちり仕切っているし。
「ねえ、あなた。絵栗鼠ちゃんっていうの? 『皇帝陛下』なのに、あんなオタクおじさんたちばっかり目立っちゃあ面白くないよね」
あ、誰かと思えば、足利さんの部下の女性巡査高さんじゃないですか。隣には泣きつかれて腫れぼったい目をしているインフォメーションのお姉さん。
「うむ。分かっておるなお姉さん。国民が『皇帝陛下』をあがめずに、オタクおじさんズを崇拝するのはよろしくない」
ない胸張って、ふんぞり返る得意のポーズで答えるエリス。
「じゃあさ。お姉さんとこのインフォメーションのお姉さんと三人でさ。あのオタクおじさんズをギャフンと言わせてやろうよ」
にんまりする高さん。それにしても「ギャフン」というのも死語ですよねって、今ツッコむべきところもそこじゃないか。




