208 いきなり自分のオタク趣味全開にするんじゃありません。そういうのは父さんだけで十分ですw
「さあて、そうなると次はオキムネだね。今まで女の子とデートなんかしたことないし。かと言ってお父さんは元からセンスがぶっ飛んでいるところに加えて、今現在絶賛爆睡中。ここはアールイチゴウさんのご意見を伺いたいね」
「コウイウノハイカガデ?」
母さんの問いに何事もなかったように大きく開けた口から壁面に映像を映すR-1号。それを全く気にしない母さん。うーん。
「ああ、これは異世界恋愛に出てくる騎士団長が着ている甲冑だね。異世界恋愛ならいいけど、今回は現実世界恋愛だからねえ」
「デハコレデハ?」
「ああ、これはアントニオ猪木の黒のショートタイツだねえ。絵栗鼠ちゃんがビキニを着るのと同じでおまわりさんのお世話になるねえ」
「デハコレデハ?」
「ああ、これは大の里の横綱土俵入りだねえ。ある意味黒のショートタイツ以上におまわりさんのお世話になるねえ」
母さん、そろそろR-1号のセンスが父さん以上にぶっ飛んでいることに気づいてください。
◇◇◇
「むー。でもアールイチゴウさんが着られている服のセンスはいいのよね。何の本参考にしたのかな?」
「アアソレハ……」
R-1号が出したのはやはりラブコメのコミック本。僕の持っていたのとは別のもの。老谷のじいちゃんが置いていった本だからね。ファッション誌なんて気の利いたものがあるわけない。
「ふんふん」
R-1号が出したコミック本をパラパラとめくる母さん。
「オサレな大人の恋愛ものだね。レディスコミックかな。うわ、エロシーン結構ある。さすがは老谷コレクション。おっ?」
むっ、母さんの手が止まったぞ。
「むうう。OLやっているヒロインが、かーいい子犬のような男子高校生の熱烈なアプローッチを受けて心揺らぐ。おおおおう。そのアプローチの現場を木の陰からじっと見ている女子高生。おおおおう」
母さん、コミック本にはまってますよ。
◇◇◇
「ふううう」
大きく肩で息をした母さん。
「いかんいかん。私としたことがのめりこんでしまった。いかんいかん。おほん。アールイチゴウさん。このかーいい子犬のような男子高校生の服を作ってくれない」
「イエッサー。オ母上」
ガシャンガシャンガシャン
一応、服を作るときは別室に移るのね。R-1号。映像映す時は全然隠そうともしないのに。「鶴の恩返し」へのオマージュか?
◇◇◇
R-1号。行動はいちいちズレているけど、縫製(?)はプロらしい。無地のTシャツ。濃紺のスラックス。上にはおる空色のカーディガン。
僕もファッションセンスなんて全然ない方だけど、高校生らしく、無難で、おしゃれっぽい感じはする。
結局、僕もエリスも母さんプロデュースみたいになっちゃったなあ。さて、これからどうしよう。
「で、オキムネ。これからどうするの?」
むう。まだまだ続く母さんプロデュース。そうねえ。デートとかしたことないし。あ、見に行きたいなと思っていた映画があるんだ。昨日、バイト先の犬咲店長からバイト代もらったことだし、行きたいな。
「ほうほう。映画ね。高校生らしくていいかも。で、なんて映画見たいの」
うん。「チャージオン」ってSF映画でね。銀河系を股にかけて、とぼけたキャラの偵察局員の「旦那さん」が凄腕の銃使いの少年「坊っちゃん」と冒険するスペースオペラで……
「「オキムネーッ!」」
わあっ、母さんとエリスが同時に怒った。なんだなんだ。
「オキムネ。これは初デートです。女の子の気持ちを考えた映画を選びなさい。いきなり自分のオタク趣味全開にするんじゃありません。そういうのは父さんだけで十分です」
あれ? ことのついでに父さんもディスってませんか? 母さん。
「ええい、この地球=ケンタウリ帝国皇帝にして、ケンタウリ帝国第五皇女。このあたし、エリス一世を何と心得るか! 銀河を股にかけるとはこのあたしのことだーっ!」
ちゃら~ ちゃらら らららー
R-1号。そこでBGMと印籠は要らんから。つーかその印籠、どこから出した?




