206 その格好で外を出歩けないわ。おまわりさんに捕まるわw
「オキムネーッ! この俺の可愛い娘絵栗鼠ちゃんに手を出すとは、それなりの覚悟があってのことだろうな?」
「ダロウナ?」
父さんの実の子どもは、エリスじゃなくて僕でしょ。それにR-1号、しれっと調子を合わせるな。大体、一緒に下総屋でバイトしていたんだから、このデートが犬咲店長が決めたものだと知っているだろうが。
「まあまあまあまあ」
ここで母さん。制止に入る。
「どちらにしても二人とも初デートなんだから、父さんはオキムネにいろいろ教えてやってよ。私は絵栗鼠ちゃんに手取り足取り腰取り教えてあげるから」
何なんですか。腰取りって? 不穏な。
「うむ。そうか」
母さんの言葉に素直に頷く父さん。
「では、この俺が直々にオキムネを特訓してやろう。では最初に大リーグボール養成ギプスを着けてだな」
ガシャンガシャーン
「はい」
父さんの何で初デートへ向けての特訓の道具が「大リーグボール養成ギプス」なんですか? そして、R-1号、当たり前のように現物を作って見せるんじゃない。それに何でケンタウリ星のアンドロイドが「大リーグボール養成ギプス」なんてものを知っているんだよ。
◇◇◇
では、この後、父さんが僕に「初デートの心得」を詳しく講義してくれたかと言えば、そんなことはなく……
「まあなんだな。女は怒らせるな。適度なちやほやは大事だが、やり過ぎると怒りを買う。気を遣わなければいけないが、遣い過ぎて疲れた様子を見せてもいかん」
何か話が大き過ぎるんですけど、もうちょっとこう具体的な話になりませんか? 父さん。
「何を言うか。オキムネ。あれで母さん。怒ると怖いんだぞ。それはもう高校生の頃からな……」
って、父さん。R-1号と酒を飲み交わしていたうちに酔っぱらって寝ちゃったよ。母さん、どうすんの?
「えー? 父さん、寝ちゃったの? 悪いけど布団まで連れてってやってくれる。私は絵栗鼠ちゃんにいろいろ教えているから」
はあ、父さんを布団に運んでいくの? 重いんだよな。父さん。筋肉質だから。おまけに酔っぱらって、酒くさいし。
「イエスサー。オ母上」
あらら、R-1号が父さんを布団に連れて行っちゃったよ。
「ああ、アールイチゴウさん、ありがとう。今日、絵栗鼠ちゃんは私と寝るから、父さん寝ちゃったんなら、先に帰ってもらってもいいよ」
「イエスサー。オ母上」
父さん、寝ちゃったし、R-1号も帰っちゃったなあ。ふあああ。眠い。僕も寝よう。今日は……と言うか、今日も疲れた。高校入ってからの五日間というものの疲れなかった日はなかったようなあ。寝よう寝よう。
◇◇◇
「だから、お母上。オキムネはこれが一番好きみたいだぞ」
「まあまあ、絵栗鼠ちゃん。それは分かるけど、でもその格好で外は歩けないわ」
「うーむ。では、お母上。オキムネはこれも好きみたいだぞ」
「絵栗鼠ちゃん。その格好でも外を出歩けないわ。おまわりさんに捕まるわ」
「では、これはどうだ? これもまあ好きみたいだぞ」
「うーん。さっきの二つよりはましだけど、注目を浴びすぎるよね。第一、まだ四月だし、ビキニで街に出たら、寒いよ」
ガバッ
僕は慌てて飛び起きた。母さんにエリス。僕が寝ている間に僕の部屋で何していたの?
「オキムネ。お母上がデートにはオキムネ好みの格好をしていった方がいいと言うから、お母上と一緒にオキムネの好きな格好の相談をしていたのだ」
それを何で僕が寝ている僕の部屋でやるわけ?
「ああ、それはね絵栗鼠ちゃんがオキムネの好きな格好をオキムネが隠し持っている写真で説明するというからね。まさか最初はヌード。二番目が裸エプロン、三番目がビキニだとは思わなかったけど」
ぶっ




