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魔女審判  作者: 改革開花
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2 襟山彩香①

 襟山彩香が坂島凛と、そして大塚利久と出会ったのは幼稚園の頃だった。

 遊び始めたきっかけが何だったかはもう誰も覚えていないが、それでも幼稚園の記憶を思い出すと彩香はひっそりと笑みを浮かべてしまう。

 

 ――いつも楽しかった。

 彩香と凛のおままごとに付き合わされる利久の複雑そうな表情に、付き合わせている側二人で笑った。

 かけっこで競争して、自慢げに先頭を走る利久がゴール直前でこけてしまい、彩香と凛に抜かれたのを悔しそうにしていたのは印象深い。

 普段は頼りない感じなのに、時折見せる利久の男の子の顔に、妙な安心感を彩香は常々感じていた。

 いつでも、どこでも一緒だった。

 幼稚園でも、遠足でも、休みの日でも。三人が一緒に居ない時の方が断然少なかった。

 



 だから小学校に上がった時、三人全員クラスがバラバラになったと知った時。彩香は泣き出さずにはいられなかった。自分の身を裂かれる様な、虚脱感と苦痛が彩香にはあった。

 交換ノートが無かったら学校に行っていなかったかもしれない程だったのだから。


 交換ノートを提案したのは、彩香からして見れば意外にも利久だった。男の子っぽい事をしたがる意地っ張りの癖に、彩香と凛と別れて一番悲しんでいたのは彼だったのかもしれない。ともあれ、離れ離れでも一緒に居られる気がして、彩香も凛も、何より利久も笑顔になった物だが。

 小学一年生から始めて、二年三年と時を経て、気付けば中学生になっても交換ノートは続いていた。利久は照れ臭そうにしながら、でも決して交換ノートを回す事を拒まず、受け渡しも今まで通りだった。交換ノートの冊数が増える毎に、彩香と凛は女性に近づいていたし、利久も男性に近づいていたが、交換ノートを柱に三人の友情は綻び無く続いていた。

 ――あの日までは。

 今では、交換ノートも途絶えてしまった。



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