表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/382

第76話 光の王城、その扉が開く時*挿絵

星灯りの道を進んできた馬車が、ゆっくりと減速していく。


窓の外に姿を現したのは――

ルクヴェルの象徴、ルクヴェル王城おうじょうだった。


雪のような白亜はくあ外壁がいへき夜光石やこうせき縁取ふちどられ、塔から塔へと渡る回廊かいろうには淡い金の灯りが連なっている。


それはまるで、夜空に浮かぶ一本の光の大河のようだった。


やがて馬車は城門前で止まる。


王城へ続く正面階段には、騎士たちが静かに並んでいた。

灯りを受けた甲冑かっちゅうが、夜の中で淡く輝いている。


音もなく、けれど圧倒的あっとうてきな“正義の秩序ちつじょ”が場を満たしていく。


馬車の外から、侍従じじゅうの声が響いた。


「――お待ちしておりました」


御者ぎょしゃが馬車の扉を開く。


その瞬間、王城の灯りが馬車の中へ流れ込み、淡い光が視界を満たした。


その光の中に立っていたのは――

白金はっきん礼装れいそうに身を包んだレンセリオン・レオ・ルクヴェルだった。


学舎で見せる姿とは異なる、王族としての礼装。

肩には薄金うすがね外套がいとうがかかり、胸元には王家の意匠いしょうを思わせる飾り鎖と留め具が淡く輝いている。


髪は柔らかな光を受け、淡く銀に見えた。


そして――

そのたたずまいだけで、いずれ国を背負せおう者であることが分かるほどの威厳いげんを帯びていた。


レンセリオンは一度、場を見渡す。


それから階段を数段降り、馬車へと歩み寄った。


リリナたちを迎えるために。


堂々とした姿勢のまま、胸へ手を添え、深く一礼する。


「ルクヴェル王家を代表し、皆さまを歓迎かんげいいたします」


エリオンの瞳が、わずかに揺れた。

けれど彼はすぐに表情を整え、静かに礼を返す。


そして――

レンセリオンの、内に金の光を宿した琥珀こはくの瞳が、ふとリリナへ向いた。


その瞬間。


王城の荘厳そうごんな空気の中で、リリナは、自分だけがふわりとやわらかな光に包まれたように感じた。


レンセリオンは一歩近づき、手袋越しにそっと手を差し出す。


「リリナ姫様……城へようこそ」


夜光石の灯りが、二人の影を長く伸ばしていた。


馬車を降りた瞬間に感じた王城の荘厳さは、大広間おおひろまへ近づくほど、さらに濃くなっていった。


レンセリオンの先導せんどうで、大扉おおとびらが開かれた。


まばゆい光があふれ出す。


白金の柱。

星々をかたどった灯飾とうしょくが、天井から淡い光を落としていた。


その輝きが、空間全体を満たしていた。


そして――その最奥さいおう


光の玉座ぎょくざに座す男。

アウレイン・ヴァル・ルクヴェル国王。


隣には、熾天してんの輝きをまとう王妃セラフィーネ。


その背後には、学舎副院長シリウス。

さらに、レンセリオンの叔父おじライゼルの姿もあった。


光と秩序の国を動かす者たちが、静かに並ぶ。


まるで――未来をはかはかりのように。



『光の王城、その手を取る時』

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ