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第74話 光を連れて帰る少女 ― マルナの祝福*挿絵

学舎の講義室に残っていた白墨はくぼくの匂いと、温かな拍手の余韻を胸に抱いたまま、リリナは自分の部屋へと戻った。


扉を開けると――

侍女マルナが、まるで帰りを待ちわびていたかのように立っていた。


「マルナ!」


その声に、マルナはやわらかく微笑んだ。


「お帰りなさいませ、姫様。

そして……学舎修了、おめでとうございます」


そう言って、両手でリリナの手をそっと包み込んだ。


「ご立派でございました。

ここでの日々は、きっと姫様の光を――

より広く、より優しくしてくれたことでしょう」


リリナの胸が、ふわりと温かくなった。


「ありがとう……マルナ。

私……ちゃんとできていたかな?」


「もちろんでございます」


マルナは迷いなく微笑み、やさしく頷いた。


「毎日、どんな表情でお戻りになっていたか……私は見ておりました。

不安な夜もあったでしょうに、それでも前を向いていらした。


――そのお姿を思うだけで、誇らしくて胸がいっぱいでございます」


その言葉に、リリナの瞳がかすかに潤む。


マルナは、用意していた晩餐会用の礼装をそっと腕にかけながら続けた。


「さぁ、これから晩餐会がございます。

王城で迎える、初めての晩餐会――どうかお楽しみくださいませ」


リリナは小さく頷いた。


「……がんばってきます」


「はい。

――リリナ様の光は、きっと誰よりも優しく輝きます」



『祝福の手、光を結う』

挿絵(By みてみん)

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