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黎光の継承―七つの魂と選ばれた少女―  作者: りこ。
第四章 焔国の導き、影に触れる勇気
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第309話 火の頂へ

リュックを胸に抱え、リリナはヴァルガンの影を追って走った。


屋根から屋根へ跳ぶその背を見失わないよう、

必死に視線を繋ぎ止める。


やがて、街の景色が変わった。


人の流れは一気に増え、

石畳は広く、建物も大きくなる。


馬車の往来が激しくなり、

一台が目の前を横切った。


「……っ!」


思わず足を止め、身を引く。


(ここは……)


顔を上げた、その先。


大通りの向こうに、王城〈炎冠宮エン=クラウン〉が見えた。


重なり合う赤と金の屋根。

太陽を戴くようなその姿は、ルア=ソレルの中心に君臨している。


――王城〈炎冠宮〉へ続く大通りが、ここからまっすぐ伸びている。


さらにその奥。


王城の背後に、

王都側の聖炎神殿の白い建物がそびえているのが見えた。


その瞬間。


胸の奥で、何かが――形を持った。


(……知ってる)


思い出した。


確かに、ここに来たことがある。


“火の頂”。


誰かが、そう呼んでいた。


王城と神殿に近い、特別な場所。

幼い頃の私には、ただ――

近づいてはいけないほど眩しい場所に見えていた。


私の宿泊先も――たぶん、そこだった。


(……そうだ)


このあたりの、どこかの広場で。

私は、舞を見た。


まだ幼く――

それでも、息を呑むほど綺麗な舞だった。


同じ歳くらいの男の子が、

炎の中で舞っていた。


胸が震えた。


理由も分からず、ただ――目を離せなかった。


(……あの子……)


今になって、思う。


あれは……レイヴだったの?


まさか。


でも——

王宮で舞う焔の舞手は、限られている。


問いは、答えを持たないまま、胸に積もっていく。


そのとき。


ヴァルガンが、跳躍をやめた。


王城の、最も高い場所――

炎冠宮の頂に、堂々と降り立つ。


息を呑む。


(……この中に、いる)


導かれる理由は、もう疑いようがなかった。


リリナは、そっとリュックを下ろし、

招待券を取り出す。


紙を持つ指が、わずかに震えている。


――怖い。


でも。


行かなければならない。


「……行こう」


小さく呟き、

リリナは一歩、前へ踏み出した。


王城へ。


火の頂へ。


運命が待つ場所へ。

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