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黎光の継承―七つの魂と選ばれた少女―  作者: りこ。
第三章 水鏡の奥、影の真相
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第274話 赤い衣と朝の光、旅立ちの決意

翌朝――


リリナは、赤い衣に身を包んでいた。


高い位置で結い上げたポニーテール。

結び目には、ソレイダ模様のスカーフがリボンのように揺れている。


鏡の中の自分は――まるで別人だった。


姫ではなく、どこか踊り子のようで。

その姿に、ほんの少しだけ戸惑う。


(足……太くないかな……?)


ちらりとミレナへ視線を向ける。


出るところは出て、引っ込むところは引っ込む――

そんな堂々とした体つきが、少し羨ましかった。


「綺麗ですよ、姫様。とっても」


ミレナがやさしく微笑む。


隣でアランも、何度も頷いた。


「これは……交熱の洗礼、受けるぞ。

ソレイダの男は、目で火を飛ばすからな」


「こうねつ……?」


聞き慣れない言葉に、首をかしげる。


ミレナはくすりと笑った。


「ソレイダに行けば分かるよ。

あそこはね、目で火を交わす国だから」



「姫様って呼ぶのも、目立つね。名前で呼ぼう」


アランの提案に、リリナは一瞬だけ考え――静かに答えた。


「エル……と呼んでください」


「本名かい?」


ミレナが問いかける。


「ミドルネームです。

リリナ・エル・セレフィア――なので」


「王族って、名前がいくつもあるんだねぇ」


ミレナが感心すると、リリナは照れたように微笑んだ。



「よし、それじゃあ――行こうか、エル」


アランの声に、リリナは深く息を吸い込む。


「はい!」


外へ出ると、朝の光が街を淡く照らしていた。


リリナは、そっと空を見上げる。


(エリオン様……レンセリオン様……

ごめんなさい……


……このままじゃ……ここにいられなくて……


――でも、必ず戻ります)


胸の奥で、静かな炎が灯る。


「エルー! 早くおいで!」


ミレナが馬車から手を振る。


「今行きます!」


スカートを翻し、リリナは駆け出した。


勢いのまま馬車へと乗り込む。


やがて――


馬車は、ゆっくりと動き出した。


窓の外で、静水の都アク=ネリアが遠ざかっていく。



こうしてリリナは――


水の都を離れ、

火の国ソレイダへと向かう。


新しい旅が、朝の光の中で静かに始まった。

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