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黎光の継承―七つの魂と選ばれた少女―  作者: りこ。
第三章 水鏡の奥、影の真相
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第234話 薄明の部屋、寄り添う小さな温度

ティアラの部屋にて。


リリナは、子犬――リラが引っ張ってきたメダルを拾い上げた。


このまま床に置いておくのは、どこか落ち着かない。


(……せっかくだし、ちゃんと飾ってあげたい)


そう思い、部屋を見回す。


視線の先、ベッド近くの壁に小さなフックがあった。


(ここなら……ティアラ王女にも見える位置だよね)


リリナはそっと、メダルをかけた。


その瞬間――


ふと、気配を感じて振り返る。


リラが、飾られたメダルをじっと見上げていた。


(……おもちゃ、取られて悲しいのかな)


それとも――


(もともと、ここにあった……?)


答えは分からない。


けれど、その視線がどこか大切なものを見つめているようで――

リリナの胸の奥が、そっと揺れた。



(……リラの寝場所、どうしよう)


ここはティアラの部屋。


だから――本当は、ここで一緒に眠るべきではない。


(……廊下に出すのは、可哀想だよね)


ベッドの端に腰掛け、考え込んでいると――


ベッドの下から、


「……わん」


と、小さな声がした。


覗き込むと、リラが顔だけ出している。


まるで「ここだよ」と言うように。


「……もしかして、誰かと一緒に寝るのが習慣なの?」


ぱちぱちと瞬く瞳。


その仕草に、胸がふわりと温かくなる。


リリナはそっとリラを抱き上げ、ベッドの上へ乗せてあげた。


するとリラは嬉しそうに尾を振りながら、忙しなくシーツの匂いを嗅ぎ回り――


やがて、“ここだ”と決めた場所で、くるりと小さく丸まった。


すっかり、眠る体勢だった。


「……ま、いっか」


小さく笑いながら、リリナはそっと息を吐く。



部屋の扉を少しだけ開けておき、


リリナは就寝の準備のため、浴室へと向かった。


静かな回廊を歩く。


(……今日は、色んなことがあったな)


エリオンの優しい横顔。


レヴィアンとの再会。


そして――不穏な影の気配。


すべてが、胸の奥で波紋のように広がっている。


けれど。


ティアラの部屋の灯りと――

そこに丸まって待っているリラの温もりだけは、

不思議と、心を静かに落ち着かせてくれた。

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