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黎光の継承―七つの魂と選ばれた少女―  作者: りこ。
第三章 水鏡の奥、影の真相
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第218話 出立の朝、揺れる誓い

翌朝。


レンセリオンは、一時的にルクヴェルへ帰還することになった。


西北の山域に関わる調査は中断。

王子としての職務を離れる許可を得るため、父王へ直に申し出るという。


「レンセリオン様、道中……お気をつけてください」


リリナの言葉に、レンセリオンは一度だけ、静かに頷いた。


そして、ゆっくりと手を伸ばす。


指先が、頬に触れる。


「しばしの別れだ。……すぐ戻る」


「……はい」


その温もりが離れる瞬間、

わずかな名残が、肌に残った気がした。



リリナはその足で、

西北の山域へ向かうエリオン、ルーク、カイルのもとへ向かう。


「もし黒胎と思われるものを見つけても……絶対に触れないでください。

引きずり込まれます」


祈るような声音だった。


三人は力強く頷く。


エリオンが、穏やかに微笑んだ。


「どこまで調査が広がっているかにもよりますが……

静水祭も控えていますので、僕は明日には下山します」


「……はい」


一拍。


「そしたら、アクエリシアに。……あなたを連れて行きます」


「……分かりました」


リリナの胸に、小さな波紋が広がった。



ふと、視線を感じる。


レンセリオンだった。


一瞬だけ視線が重なり——

彼は、何かを押し込めるように目を逸らす。


アクエリシアでの共鳴。


それは、三人で決めた未来。


だからこそ——

揺れる。



「では。健闘を祈る」


短く告げ、レンセリオンは馬を蹴った。


そのまま——

一度も振り返らない。


振り返れば、

心がほどけてしまうと、分かっていたから。



続いて、エリオン、ルーク、カイルも馬を走らせる。


それぞれが、別の方角へ。


遠ざかっていく背中。


その光景を、リリナはただ見つめていた。


(……どうか、無事で)


それだけを、強く願う。


それだけしか、できない。


けれど——


その願いは、確かに胸の奥で灯り続けていた。

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