第1話
「……」
――結局……。
リチャード王子は長期休暇中ずっと帰って来ず、バカンスに行ったきり。そんな彼の代わりに陛下の隣についていたのはキュリオス王子だった。
正直、婚約者をないがしろにするのも問題ではある。しかし、今回の事はそれ以上にまずかったとしか言えない。
――いわゆる「職務放棄」だものね。
今のところ「順当に行けばリチャード王子が国王になる」となっているが、正式な発表はまだされておらず、彼はまだ「王太子」ではなく「第一王子」という肩書のまま。
つまり、まだ変更になる可能性はあるという事だ。
しかし、今回の事で今までリチャード王子を推していた有力貴族たちも「彼に任せて大丈夫なのだろうか?」と思った面々も出て来たらしい。
――そもそも、彼らのご子息たちから学校の様子は聞いているでしょうし。
それらも鑑みて……というところだろうか。
ちなみに、現生徒会の面々の保護者たちは現在息子たちが婚約していて自分の領地に戻ってしまったご令嬢たちと今後の事について話し合いをしていた様だ。
――私も……と言いたいところだけど。
元々お忙しい方だ。なかなか時間が取れないらしい。
しかし、王妃様から「あなたには決して悪い様にはしないから。それだけは覚えておいて」というお言葉を頂けただけで十分としておこう。
――でも、本当に何を考えているのやら。
正直「呆れ」を通り越して何とも言えなくなっている。
宿題も終わり、王妃教育も長期休暇の分は無事に終了。明日からはまた学校が始まるのだが……。
「ふぅ」
――学校が始まったらすぐに『コレ』があるのよね。
「失礼致します。どうされましたか?」
そんなタイミングでちょうどフィーユが現れた。
「ん? ああ、ちょっと学校行事の確認を……ね」
「学校行事……ですか」
「ええ。今度行われる『星空会』についてね」
「そうなんですね……」
そう言いつつフィーユはどことなく気になった様だ。
「どうしたの?」
「あの。その『星空会』とは一体どういった催しなのでしょうか? 実は、聞いたところによると毎年退学者が出てしまう行事らしいのですが……」
「ああ……そうね」
そう、こういった事があるため、実は「魔法学校を卒業するのが難しい」と言われている。
入学当初の特訓をしていた頃のイリーナを見ているとそんなレベルだと思われないかも知れないが、それはあくまで「過去」のせいであって、潜在的な能力は申し分ない。
それに、今回が今年入学したばかりの生徒にとっては初めての『学校行事』だ。
そして、この『学校行事』こそが卒業を困難とされている一番の理由でもあったのである――。




