第2話
「あの、それは……どうしてでしょう。どうして退学者が……」
普通にその言葉だけを聞けば『星空会』は非常に穏やかな催し物の様に聞こえる。それ故にフィーユは尋ねたのだろう。
――結構有名な話だと思っていたけど……。
しかし、それはあくまで「魔法に興味のある人」であって、要するに「興味のない人」にとっては「知らない話」なのである。
「実はこの『星空会』は生徒にある課題が与えられるの。それには制限時間があってね。それに間に合わなければ退学という事になるのよ」
「制限時間……ですか」
この『星空会』という言葉を聞くと真っ先に「星空を見る催し」の様に聞こえてしまうがどちらかと言うとこの名前は「行事が行われる場所」に由来しているらしい。
「それで、その課題……とは言っているけど、単純に言うと星空が見える山頂まで『オリエンテーリング』ね」
「オリエンテーリングですか」
「ええ。要所要所でポイントをもらってゴールを目指すあれよ」
「……なるほど」
イリーナは『オリエンテーリング』の経験がないが、知識としては知っていた。
――フィーユもそれは知っているみたいね。
正直、時折フィーユには驚かされることが
「そもそも、こうした学校行事が行われる様になったのも学生の能力低下を少しでも抑えるためらしいけど」
「そうなのですか?」
そもそも『魔法学校』は国内トップクラスの「魔法を学習するための場所」だ。そこに通う学生の能力が低いのは問題だろう。
――卒業自体が難しいから、卒業出来たら『将来の進路』も確約されている様なモノだし。
だからこその『学校行事』とも言える。
「ええ。そもそも『オリエンテーリング』自体もチェックポイントで課題をクリアすればいいだけの比較的シンプルなモノらしいから」
こう言うと「簡単」な様にも聞こえる。しかし、当然そんな「簡単」なモノで退学者なんて出ないワケだが。
「じゃあ退学しないためには……」
「さっきも言った通り制限時間内にクリアがするって事ね」
ただ、説明しているイリーナも具体的にどういった課題があるかまでは知らない。
しかも、その課題は学年によって違うらしく、またその難易度も学年が上がるにつれて当然上がる。
――分かっている事はただの『オリエンテーリング』ではないって事くらいかしら?
「分かっているのは形式としては一応『個人戦』となってはいるみたいだけど……」
「? どうされましたか?」
「でも、結局のところは仲の良いクラスメイトと一緒に回る事が多いみたい」
目的地が全員同じな上に「制限時間」というモノがある。そうなれば、当然こうなってしまうだろう。
「……確かにその方が何かと効率も良さそうですね」
そう、だからこの行事は「効率の良さ」と「いち早く情報を仕入れる力」が重要なのである。




