第3話
だからこそ、今回の試験では良い結果を残したい。たとえ上位のクラスに入れずとも……いや、入れるとは思ってはいない。
自分の力量くらいは分かっているつもりだ。それに、本来は地道にコツコツとが鉄則の『魔法』で手っ取り早くなんて思っている事自体間違いなのだ。
「……」
ただ一つだけ言いたいのは「イリーナは決しておバカではない」というところである。
実技試験の結果はともかく。
幼少期からずっと本を読んでいt知識量は確かなもので、筆記試験に関しては満点……とまではいかなくとも、上位クラスに入るには申し分ない高得点を最初の試験ではちゃんと出している。
それこそ、抜き打ちでテストがあろうがすぐに対応出来るくらいの知識はあるのだ。
しかし、それが上手く「実技」の方で発揮されないだけで……。
でもやはり試験結果で重点的にみられるのはやはり「実技」の方であり、クラスを分ける際に優先されるのもこちら。
ただ実のところを言うと、イリーナは貴族としての位は自分より低いモノの魔法の力の強い『アリア』という存在の手前謙遜しているが、事故によって『鑑定』の魔法が使えなくなったこの国の第一王子であるリチャード王子に「位が高く魔法の力が強いから」という理由で婚約者になっている事を踏まえて考えると……。
イリーナもは決して魔法の力がないというワケではない。
むしろ「強い」の方なのだ。そうでなければたとえ「公爵家の令嬢」であっても婚約者には選ばれない。
しかも、そもそもの事の発端の事を踏まえて考えると……過去を乗り越えさえすれば実はアリアよりもまだ時間を短縮して魔法が上達させる事が出来る可能性が高かった。
「過去……ね」
そもそも事の発端は子供同士の些細なケンカだった。
でも、それによってリチャード王子の人生を狂わされたという事もまた事実。しかし、本来であればイリーナと同じ……いや、それ以上の苦しみを受けているはずの王子が今では好き勝手に振舞っているのもまた事実だ。
正直イリーナは今も王子の将来を危ういモノにしてしまったという事に対して負い目を感じていた。
だが、あの購買で言い争いなった後。たまに学校で見かけて彼女に惚れ込んでいる王子に様子を見ていると……正直どうでも良くなってしまった。
イリーナは今でも負い目を感じているというのに、当の本人が全然気にしていないのだ。
それくらいイリーナにとって「自分をないがしろにして他の女性の言い分を鵜呑みにしていた彼の姿」は……滑稽に見えてしまったのだ。
彼女に踊らされている……とでも言えば良いのだろうか。
正直、今の彼がこのまま国王になると考えるだけでゾッとしてしまう。それこそ国王陛下に報告して判断して欲しいほどに。
「だったらもう……」
そこでイリーナは完全に吹っ切れた。
今までは「リチャード王子に言われたから出来るだけ目立たない様に」と思っていたが、当の本人が全然気にせず自由に学校生活を送っているのだ。
だったら自分だってそうしてもいいだろう。
それに、上位のクラスにはアリアやキュリオス王子もいる。その方が将来的にイリーナにとってプラスになる。
「――よし」
そうしてイリーナは意気込みを新たにし、試験に向けて猛勉強と特訓をする事にしたのだった。




