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悪役令嬢にそんな『力』はありません!  作者: 黒い猫
第二十章 試験にて
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第2話


 この学校の試験の結果が学年ごとに貼り出される。


 そのためか貼り出された結果を確認して一喜一憂する生徒が多数出てちょっとしたお祭り状態になる。


 もちろん、イリーナもそれを確認しに行った。


 しかも、入学式後にすぐ行われた試験は上位と下位のクラス分けも兼ねられている事もあった……というのもあるが。


 ――下位クラスになる事は覚悟していたけど……。


 実際に自分の前で見てみると、やっぱり来るものがある。


 ただ、どうしてかそんな傷心気味の時に限って会いたくない相手に会いやすいもので……。


「はぁ」


 誰か近づいてくるのは分かっていた。それが「男性」だという事も。しかし、まさかそれが『ステファン・ローレンス』だとは思ってもいなかった。


 正直「学年別に貼り出されているから彼も見に来ているのだろう」と思って自分から声をかける様な事はしなかった。


 何せ、彼は「先輩」という事もあったのだが、周りにたくさんの生徒がいたから。


 しかし、彼とはあの事件以降。特別な処置などはなかったものの、基本的に自分から接触する様な事は避けていた。


 ただ、彼の方から来たのであれば内容も聞かずに拒む理由はない。


 でも……結論から言うと、彼は幼少の頃から変わっていなかった様に思う。なぜなら、彼が貼りだされた試験結果を一瞥して言った言葉が……。


「――王子の婚約者なのになんだこんな体たらくとは。そんなだから庶民に婚約者が夢中になるんだ」


 彼はイリーナの目を鋭いまなざしで見つめながらそう言ったのだ。


 ――正直なところ「それはあなたもでしょ!」と言い返したい気持ちはあった。


 何せ、フィーユの話と照らし合わせてみると……きっとこの時点で彼の婚約者は自分の領地に出戻っていた可能性があったからである。


 それに、イリーナは「リチャード王子に言われたから……」と言いたい気持ちもあった。


 しかし、結果が全てなところもあり、結局言い訳にしかならなかったので何も言えずにそのままその場から逃げる様に立ち去った。


◆   ◆   ◆   ◆   ◆


 だからこそ、今回の結果がもし悪かったとしたらきっと相当色々と言ってくる可能性は高い。


 何せ過去の事もある上に、実はステファンはリチャード王子にの右腕みたいな存在になっている。


 それでいて、過去の一件があったにも関わらず今もリチャード王子と仲も良く、イリーナとの婚約がリチャード王子が望んだモノじゃないという事も知っている。


 ――まぁ、それの点は私も一緒なのだけど。


 ただ、お互いの状況が状況だったから仕方のない事だって頭では分かっている。


 だからこそ、イリーナが王子に対して「そんなに彼女がいいのなら……」ともはや「どうでもいい」とすら思っているにも関わらず婚約破棄する事もされる事もされずにいるのである。

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