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悪役令嬢にそんな『力』はありません!  作者: 黒い猫
第二十章 試験にて
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第1話


「……」


 一通り話した後。アリアは驚いている……というよりもどちらかと言うと「やっぱり」という気持ちがあったのかむしろ「納得」という顔をしていた。


 どうしてか……という事はあえて聞かなかった。


「僕たちもこの事実を知った時は驚きを隠せなかったよ。ただ、それと同時に様々な問題もあった。でも、つくづくお父様たちは『公表しなくて良かった』って思ったのじゃないかな」

「……」


 それは……そうかも知れない。確かに公表していたら……もっと大きな事態になっていただろう。


 ――それに……問題はそれだけじゃなかったから。


「ただ。そうなると『鑑定』の魔法を使える方が別のどこかにいるはず……とちまなこになって探した……が」

「……見つからなかったんですね」


 アリアがそう言うと、二人は小さく頷いた。


 そう、一番の問題は「そこ」だった。これがすぐに見つかっていれば……きっと話はもっと簡単だったに違いない。


 ――男性であれば養子にすればいいでしょうし、女性であれば婚約者にすればいい。


 ただそこに「本人の意思」なんてモノは存在しない。言ってしまえば「そうなってしまったのだから仕方ない」という事だ。


 ――そういうモノだと思わないとやっていられないわね。


 しかし、結局見つからなかった。


「ただ、どうにかする方法はある。それが、事の発端になったクローズ令嬢を婚約者にするというモノだったんだよ」

「え」


 あまりに急展開過ぎると思った。


 しかし、実は過去には『鑑定』を使えない国王が国を治めていた事もあった……という事を書物で知っていた。


「実はコレが『鑑定』の魔法が使えない国王が国を治める方法の一つでね。その場合は魔力が多い人を妃にするというモノらしくてね。でもそれは魔法の扱いという話ではなくて、単純に魔力が多い人を……という意味で……だけどね」


 それら様々な事を踏まえた上でイリーナに白羽の矢が立ったのだろう……とアリアは察した様だ。


◆   ◆   ◆   ◆   ◆


 後日――。


「……」


 アリアは無言で色々な疑問が浮かび上がっていたみたいだけど、それも今は過去の事と割り切ったらしい。


 それに、目下の問題は試験とイリーナ自分自身の事だ。


 一応、一年の間にクラス替えのチャンスは今回を入れて二回あり「三年間」と考えれば急ぐ必要もない様に感じる。


 しかし、当然後半になればなるほど難易度は上がってしまう。


 そして今は一年生の基礎を学んでいる段階だ。出来る事なら今の内に上位のクラスに上がってしまいたいところだ。


 ――リチャード様は……嫌がるでしょうね。


 元々は入学する前に「上位クラスに入らない様にしろ」と言われていた。普通であれば婚約者である彼のいう事に従うべきだろう。


 ――でも……。


 購買で見た彼を見てからは……そういった気持ちは一切消えてしまった。


 きっと、先輩である彼女の言う事を鵜呑みにしている彼を見て、慕う気持ちもなくなってしまったのだろう。


 ――それに、あの男に言われっぱなしなのも性に合わないから……。


 そう、実は最初の試験の結果が張り出された場所でイリーナはあの事件のきっかけになった『ステファン・ローレンス』と偶然会ったのである。

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