第2話
正直な話。面倒だとは思っていたので今の「一人」という状況は慣れているのでイリーナの心境に大きな問題はない。
ただ、この状況はあまり芳しくはないだろう。
今の生徒会の状況を周りの話などから聞く限り、どうやらリチャード王子だけではなく、もれなくメンバーと「仲良く」している様だ。
そして、生徒会のメンバーはそのほとんどが将来国の重役を背負う若者ばかりで、そんな彼らにはリチャード王子同様「婚約者」がいる。
ただ、その「婚約者たち」とイリーナが同じ状況だとは限らない。
つまり、自分の婚約者が自分ではない相手と懇意にしているのを「面白くない」と思ったり既に苦言を呈したりしている可能性が高い。
――でも、現状を見る限り。その効果はなさそうだけど……。
そんな中で公爵家の令嬢で、第一王子の婚約者。しかも「悪役令嬢」と陰で言われているイリーナが入学して来て「上手く利用しよう」と思う人が出てくる可能性は十二分に考えられる。
――今の状況で好き勝手に行動されたり話されたりしてその責任を私に擦り付けでもされたら……。
場合によってはたとえイリーナに身に覚えがなくとも、イリーナを擁護をしてくれる味方がいない。
――一応、リチャード王子には『監視』が付いてはいる。だけど……。
正直、イリーナ自身に『監視』はいない。
「……」
今から陛下に頼んで『監視』を付けてもらう事は出来る。しかし、果たして本当に付けてらえるかどうかは……正直分からない。
――失敗したわね。
こうなる可能性は高かったにも関わらず、入学試験の準備などの忙しさも相まって完全に頭から抜けてしまっていた。
――そもそも、私の味方をしてくれる様な友達がいればいいだけの話なのだけど……。
しかし、そんな「信頼出来る相手」がいない。
いくらイリーナが公爵令嬢だとしても、今までイリーナに近づいてくる令嬢はその「公爵令嬢」という肩書きにしか興味がなかった。
そんな相手では、イリーナの立場が悪くなった場合。きっとすぐに裏切ってしまうだろう。
いや、むしろイリーナの名前を語って嫌がらせをしたり横柄な態度を取ったりする可能性だってある。
――だとしたら、位を気にしない人がベストよね。
しかし、この庶民や位の低い貴族たちが集まるクラスではどうやらそれは難しそうだ。
――そうなると、上位クラスになるんでしょうけど……。
それも望みは薄い。
「はぁ……」
――そもそも、貴族の位を気にしない人なんて……。
完全に困ったイリーナだったが、ふと「一人」だけその条件に当てはまる人物を思い出した。
「……」
そう、リチャード王子の一つ下の弟の第二王子である『キュリオス・エリオット』である。




