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悪役令嬢にそんな『力』はありません!  作者: 黒い猫
第十一章 ある事故にて
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第3話


 正直人が褒められていると「自分の方がすごいんだ!」と自分の力を誇示したい感情は誰にでもあると思う。


 それは子供に限らずあるだろう。


 だから……というワケではないが、あの時。ステファンは「自分の方がもっとすごい事が出来る!」と言ってその場で魔法を放った。


「おい! 止めろ!」

「誰か止めさせて!」


 もちろんその場は騒然となった。


 正直、あの時は「こんな子が将来の宰相になるのか」と魔法を避けながら唖然としたものである。


 そして、どうやらそれら魔法はステファンが感情任せに放ったせいもあったのか全く制御がされておらず、感情のまま放った事もあったのか、かなり大きな威力の魔法がイリーナに向かって飛んできた。


「っ!」


 今までは上手く避けていたが、自分に向かって飛んできたのであればそれなりに対処をしなければならない。


「きゃあ!」


 いつものイリーナであれば冷静に対処出来ていた。


「大丈夫?」

「は、はい」


「っ!」


 しかし、あの時はイリーナのすぐ近くで使用人が倒れてしまった事とイリーナが想定していたモノよりも大きく速い魔法が飛んできた事により咄嗟に魔法を使ったのだが……。


「しまった!」


 咄嗟に使ってしまった事によりイリーナが思っていた以上の威力が出てしまった。


「……」


 そして、そのイリーナが放った魔法はステファンの放った魔法に当たり弾け……その魔法の一つが近くにいたリチャード王子のすぐ上の壁に当たってしまった。


 ただ、幸いにも魔法が王子に直撃する事はなかったが、王子は驚きのあまり気を失ってしまった。


 王族主催のお茶会での惨事。


 イリーナたちがまだ子供だった事やそもそもの発端が王家側にあった事も考慮され大きな処分はなかった。


 しかし、ここで大きな問題が起きる。


 それが「事故のショックによりリチャード王子が『鑑定』という魔法が使えなくなった」という事だ。


 この『鑑定』という魔法は「代々国王になる者ののみが使える」とされており、この魔法が使える者が国王になっていた。


 ただ、この魔法。


 仮に兄弟がいた場合はそのどちらかにしか使えず、それがたとえ弟だったとしても、王になるのは使える「弟」とされていた。


 それくらいこの『鑑定』という魔法は重要なものとされていた。


 そして、リチャード王子がこの魔法を使える兆候を見せていたのだが、今回の一件でなぜか使えなくなってしまったのである。


 これには王宮中が大きな騒ぎとなった。


 そして、結果として『鑑定』の魔法が使えない国王が国を治める方法の一つとして魔力が多い人を妃にした事が長い歴史の中であったらしく、それらを踏まえた上でクローズに白羽の矢が立った。


 ただそれは魔法の扱いという話ではなく、単純に魔力が多い人を……という意味で……だったが。

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