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悪役令嬢にそんな『力』はありません!  作者: 黒い猫
第十二章 魔法学校にて
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第1話


 でもまぁ元々婚約者の話は出ていた訳で……言ってしまえばそうせざる負えない状況になっただけと言ってしまえばそれまでの話ではある。


 ――ただ、やっぱり世間では「リチャード殿下を危険な目に遭わせた責任を取って婚約者にした」という意見がほとんどなのよね。


 もちろん、リチャード王子とのやり取りは本人同士でしかしていない為仕方のない話ではあるのだが。


 ――それでも……ちょっとね。


 やっぱり思うところはある。


 ちなみに『鑑定』の魔法が使えなくなったと知ったリチャード王子はと言うと……意外に静かだった。


 コレには周りの人たちは驚いた。てっきり暴れるくらいの事はするのではないか……と警戒していたのだ。


 ――でもまぁ『鑑定』の魔法が使えるという事は国王になる事を約束されている様なモノだから……。


 きっとリチャード王子はその事によって色々と制限されていた事が多かったのだろう。


 ――それにはきっと「婚約者」も含まれているのでしょうね。


「……ふぅ」


 無事に荷造りを終え、チラッと向けた視線の先には星のキレイな夜の空。


「時間が経つのはあっという間ね」

「はい」


「そろそろ夕食の時間かしら?」

「はい。既に準備は整っております」


「そう」


 しかし、その夕食の場に両親はおろか義弟の姿はない。


 ここ最近に限らず数年前からイリーナは両親と義弟が食べた後に食事をする様になっていた。


 ――まだちゃんとした食事が出てくるだけマシと思っておくべきよね。


 食堂に向かう道中。イリーナは「フッ」と小さく笑う。


 正直、いつ食事の内容が悪いモノになるか分かったモノじゃない。それくらい自分がこの家での地位が低い位分かっている。


「どうぞ」

「ありがとう」


 でも、使用人がそうだというワケではない。


 幼少の頃は使用人の中に「友人の使用人が辞めさせられたのはイリーナのせいだ」という人たちもいたが、今ではその疑いも晴れている。


 ――フィーユのおかげね。


 コレに関しては……いや、日常的な事から様々な事に関してフィーユには本当に感謝している。


 ――ただ、たとえ相手が将来王妃になるかも知れないと分かっていても、両親や義弟は全然変わらないのよね。


 実はそれに関してはちょっと期待していた。


 しかし、どうやら期待するだけ無駄だったのだと、婚約が決まったその日の内に気が付いた。


 でも、今までは何かあればリチャード王子に話す事もあり、それを聞いた王子が両親に対し言ってくれた事もあってちょっとは改善されたと思う。


 しかし、今の王子にそれは期待出来ない。


 ――幸いなのは明日から魔法学校に行く事よね。


 これでしばらくはこの家から離れる事が出来る。長期の休みなどもあるらしいが、家に帰るかどうかは生徒が決められるらしいので当分帰るつもりはない。


 ――ただ……。


 入学する事によって両親や義弟からの視線などは気にしなくても良いが、代わりに「リチャード王子と初恋の相手のやり取りを見る可能性がある」という事に関しては、正直今から気が重かった。

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