第2話
――ただ、懸念材料は山ほどあるけど。
例えば、リチャード王子と婚約が決まってからイリーナに媚びを売る様になった令嬢などが上げられる。
――今は「まだ」私が魔法学校に入学していないから大きな動きをしていないだけで入学したと同時に「私の為」とか言って勝手な行動をする可能性は高い。
本当にありがた迷惑な話である。
「今はまだその時じゃないわ。そもそも私はその状況をこの目で見たワケじゃないもの」
そう、そもそもの話。イリーナは二人が仲睦まじく話していたり一緒に行動していたりしているのを実際に見たわけではない。
「ただ……」
「ただ?」
「既に誰かが注意しているかも知れないけど」
「……その可能性は十分考えられますね」
一応「学校内で身分の差はないモノとして考える」と言った形式にはなっている。しかし、それはあくまで「友人」としての話だ。
「相手に婚約者がいる場合。普通に考えて異性と仲良くするのは避けます。それに、魔法学校は貴族が多いのを踏まえて考えると……注意する方がいてもおかしくはありませんね」
そう、しかも相手は王子だ。直接リチャード王子に言う事はなくとも初恋の相手の方には何かしら忠告している可能性はある。
――まぁ、それすらも私のせいにされている可能性はあるけど……。
しかし、今日のリチャード王子の反応を見る限り何とも言えない。
――でも、周囲の人が何かしら注意していたとしたら。
「……」
「どうかされましたか?」
「ああ。いえ、もしかしたら既に国王陛下には話がいっている可能性はあると思っただけよ」
「それは……ありえそうですね」
――私が「何かあった」と気が付くくらいだもの。何かしらの報告がいっていてもおかしくないわ。
もちろんそれをどう判断するのかは陛下なのだが……。
「ただそうなると、殿下は少し身の振り方を考えないといけないわね」
「そうですね。今のところほぼ決まりではあるけど、殿下はまだ王位継承権の第一位という立場ではありますが今はまだキュリオス殿下のどちらが将来の国王になるかは正式に決まっていない状況ですから」
――そう。だからもし仮に国王陛下がこの話を重くみたとしたら……。
「今のままだといくらリチャード殿下でも最悪王位はく奪になる可能性はあるわね」
「そうなれば婚約の話も……」
「さぁ。どうなる事やら」
「……随分と他人事の様にあっさりと言われるのですね」
少し意外そうに言うフィーユに、私も少し自分自身に驚いていた。
――でも……うん。それはきっと。
「……そうね。今、あなたと話していて少し気持ちの整理が出来たから……かしら?」
多分そうだと思う。
さっきの自分は「初恋の人に再会してうつつを抜かしているリチャード王子」にショックを受けていたが、こうしてフィーユと話してみると……意外にすぐに冷静になれた。




