第2話
このお茶会は王宮で催されるというだけでなく、キュリオス王子にとっては「初めて」の大規模なお茶会だった。
――まぁ、一応「同年代」とは付いていてもほとんどの貴族が来ているのだから大規模なのには違いないわね。
辺りを見渡すと、キュリオス王子の年齢も相まってかどうことなく気合いの入っている令嬢とその親がチラホラ見える。
大方、今回のお茶会で少しでもキュリオス王子の印象に残って顔を覚えてもらおうといった魂胆だろう。
――普通は……そうよね。
しかし、イリーナは既にキュリオス王子と文通をしている仲。その事実がどことなくイリーナを自信づける。
「……良いですか。あなたはただ『いつも通り』していれば良いのです。分かりましたか?」
「はい。お母様」
ただ、そんな事実を知らないお母様はギロリと鋭い視線を向けてイリーナの行動に目を光らせているのだけど。
――それにしても、今日は来ないと思っていたのだけど……。
やはり王族の繋がりは欲しいと思ったのか、はたまたほとんどの子供たちは両親。もしくはどちらか親が付いて来る事をどこかで知ったのか、自分たちの見栄のために来たのか……正直、イリーナにとってはどうでも良かったのだが。
――ん?
「?」
そんな時、何やら会場が騒がしくなっている事に気が付いた。
「何かしら、騒々しい」
怪訝そうな表情を隠す様に母は扇を使っていたけれど、残念ながらその不機嫌な顔が全然隠せていない。
「……」
――どうしたのかしら?
ふと様子が気になり、思わず聞き耳を立てていると、どうやら一人の令嬢に対して使用人が「本当に招待状を持っているのか」といった様な言いがかりをつけているらしい。
……なんだそれは。
確かに、王宮の使用人の中には爵位を持つ者もいる。それはイリーナもよく知っている。
なぜなら、公爵家であるイリーナの家にも数人そういった使用人がいるからだ。
しかし、それとこれとは話は別だ。そもそも今回は王族とは言え「招待した側の使用人」だ。しかも王宮の使用人がそういった態度をとって良いはずがない。
――ましてや相手は貴族とは言えまだ子供なのに。
そんな憤りを覚えつつ動向を見守っていると……。
「何、あの恰好」
「場違いよね」
どこかからそんな声がチラホラと聞こえる。
「……」
そして、その中でどうやら「兄が熱を出してしまい、このお茶会には令嬢と使用人しか来ていない」という事を耳にした。
それを聞いてイリーナは母から離れてその使用人に「一言言ってやろう」と人ごみの中を進んで行こうとしたところで……。
「――何をしているの?」
幼い少年の……いや、あの出会った時とあまり変わっていないキュリオス王子の声が聞こえた。




