秋人のゲーム事情
瀬上秋人はゲームが大好きである。
ダンジョンに入る前はジャンルを問わずやっていた。
なんでも好むがパズルは少し苦手だった。
MMOゲームが発達してからはそれをよくやっていた。
月額料金制であまりお金がかからずにやりこめて時間泥棒だったからだ。
彼は自分では効率を重視しているつもりだった。
客観的に見るといびつな効率主義だ。
時間当たりの敵を倒す数を増やすために専用の武器を作る。
ゲームでは割と当たり前の行為である。
ただ、他人が見るとあまりその狩場は行かないんじゃないかとか
専用の武器を作るより汎用の武器でレベルを上げて駆け抜けてしまった方がいいんじゃないかと
言われそうなところの装備まで作る。
経験値の時給を5%増やすために余計な操作をかなり増やす。
払った労力に対して増えた経験値はそれほどでもないがその部分に満足感を得たりもする。
そんな性格なので反復作業は慣れていた。
レアアイテムを神引きしたことがある。
使わないが高い品だったために喜んで売ったが後に相場がさらに上がった。
逆に稼ぎ狙いで行っていくら頑張っても出てこないこともあった。
そう言った経験を何度もした後に彼のレアに対する考えは
「お願いですから期待値あたりでコンスタントに出てください。数は頑張って狩ります」
という悟りに近いものになった。
ある時知合い数人に誘われてプレイヤーキル可能なエリアに行ったことがあった。
PK可能なエリアだから人がおらず稼ぎやすいと言われた。
だがPKに全滅させられてしまった。
いかにPKされてムカつくか、相手がクソみたいな性格かを語る知人達の言葉を聞きながら
秋人が感じたことはわざわざPK可能なエリアにしているんだから
そういうゲーム性なんじゃないかということだった。
表面上は感情的な言葉を吐く知人に同意していたが
対人戦もゲームとしては楽しいのかとそちらに興味は強くなる。
そこから秋人は対人戦にもハマり始めた。
そうしたら今まで何に使うか分からなかったアイテムが意味を持ち始めた。
他の人の戦い方やアイテムの使い方を見て学ぶ。
最初は負け続けていたがやっているうちに勝てるようになってきた。
特に相手をしていて楽しかったのは最初にPKをしてきた人たちだった。
こちらが勝てるようになると相手は人数が増えた。
次はどうやって戦おう、相手はどう出てくるだろうか。
楽しくて親しみを感じていた相手はある時を境に相手は出てこなくなった。
後日他のPKから聞いた
「あいつら初心者狩りをして楽しみたかっただけなのにお前が粘着したから逃げたぞ」
という言葉を聞いて自分の感じていた対戦の楽しみが一方的な物だと知った。
それでも秋人は対人の面白さを教えてくれた彼らに感謝をしている。
これらのMMOでの経験はダンジョンを潜るうえでかなりいい糧となってくれたと思っている。
ダンジョンから帰ってきてからはMMOゲームはしていない。
以前やっていたゲームはサービス終了になっていたし
新しく触ってみたゲームもダンジョンで必死に行った反復練習や
戦いほどの熱中はもたらしてくれなかった。
アクションやシューティングをしながら感じる。
以前より気合避けでなんとかできてしまう。
制作者がやらせたいことが理解出来たらあっさりとできてしまう。
ダンジョンで肉体のスペックが上がったからなのだろうと納得する。
「君の体、ダンジョンの主に色々されてるの分かってる?」
ダンジョン内で出会った人に言われたことを思い出す。
結果的にメイちゃんたちの意図はダンジョン内で生き物の成長を促すことだったので
悪意があったわけではなかった。
じわりとよく分からない不安が胸に広がった。
遅くなりました。




