<閑話>警察官さんと農家さん
「おつかれさまでーす」
私は通り際に声をかける。
「ちょっと寄って行かんかね」
このおじいさんにはよくお茶に誘われる。
「ダメなんですよね」
毎回断ろうとするのだが
「今はスマホとかあって色々むつかしいんだろうけどね。
昔は小さい村や島の警察官は住人との距離が近かったもんさ。
世の中ごちゃごちゃしとるから細かいことを気にするやつもおらんだろう」
押し負けるのだ。
「そういえば、この間の瀬上さん本物だったみたいですよ」
縁側に座りお茶をすすりながら話を振ってみる。
「どの瀬上秋人君かな? 」
この人は何人も瀬上君を連れてきている。
「あの小さい女の子の」
「ああ、あの子か。また随分意外なのが本物だったんじゃな」
「いっぱい連れてきましたからね」
「孫が世話になったからな。ワシは瀬上秋人君には親切にすることにしとる」
「あの子は神に会ったんかね」
膝の上に乗せた猫を撫でながらぼそりとおじいさんが呟く。
「願い事をかなえてもらったならそうなんじゃないですかね」
何の気なしに返答をする。
「だとしたら不幸なことじゃの」
不思議な反応が返ってきた。
「不幸なこと?」
「不幸だとも。
出来ることが違う過ぎるものは価値観も違うんじゃよ。
そうだな、ワシの孫のことが生き返ったことなんかがそうじゃな。
今回姿を現した神はそれが簡単にできる。
ダンジョンなんてのも簡単に作ってしまった。
違いすぎる者は遠くで見てるくらいが丁度いい」
お茶をすすってからおじいさんが続ける。
「人のよかれと神のよかれは違う。
だからこの国では荒魂でも和魂でも鎮めて祭って見守ってもらうだけじゃ」
「あー、死んだら終わりの人間とコンティニュー前提で生きれるのでは
一生の重みが全然違うって感じですかね」
「出来ることの差がそのこんてぬーだけじゃったらまだマシなんじゃろうがな。
それだけじゃ終わらんのじゃろう」
なんだか背筋が寒くなってきた。
「小さい者の区別なんぞつかんとは思うが。
なんぞ目をつけられることをしてなければいいんじゃがなぁ」
ぽつりと呟かれた独白が耳に残った。
楽しんでいただけると嬉しいです。




