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免許証

「げぇえええ!!!???こいつらはっ!!!???」


「へへへ。ようやく俺達に気づいたようだな。だがもう遅い」


「今日がお前たちの命日だぜっ!!!」


「たっぷりと仕返しさせてもらうぞっ!!!」


自分達の店の前に出た作治とアミーラが目にしたのは、ついこないだ小学校を襲撃した三人の魔法学科の奨学金生徒であった。


「俺様は魔力チーター!その気になればこの街ひとつくらいくらい鼻くそほじりながら魔法で吹き飛ばせるぜっ!」


「そして俺様は金持チーター!そこらへんの王侯貴族よりもよっぽど金持だぜ!」


「そして俺はイケメンチーター!俺様になびかねえ女はいねえ!」


『三人そろってジェットストームチーター!!』


ピシッとそれぞれキメポーズ取る三人の魔法学科の生徒。


後ろを買い物途中の母子が通りすがる。


わぁ!あれかっこいい!


しっ!みちゃいけません!


母子は急に足早になって店の前を通り過ぎた。


「三馬鹿トリオではないか」


「お前達一体どうやって刑務所から出たんだ?確か小学校襲撃事件の後、すぐに街の警備隊に捕まったはず・・・?」


「そんなものは保釈金を積み込んだぜぇ!」


金持チーターは言った。


「殺人と国家反逆罪以外は保釈金を払えば見逃してもらえるんだぜぇ!ヒャア!」


「優秀な弁護士に教えてもらったぜぇ!」


「くっ、みんなから好かれる好青年を棒で殴った後、ロープで縛って川に放り込み、それを政治家の父親が隠蔽するような父親のような発言をしやがって!」


「なんだとサク?!ニホンという国にはそういう連中ばっかりなのか?!」


「ああそうだ!少年法という悪法があって、未成年の強盗殺人犯が野放しになっているんだ!!」


「なんということだっ!!やはりニホンが三等国家だという妾の認識に間違いはなかった!!!」


そんな三人組チーターは作治とアミーラの道具店の前でゴザを敷き、その上に緑や赤やらの色とりどりの美しい草を大量に乗せていた。


いや、これは草ではない。


「これは、薬草?」


「ヒャア!その優秀な弁護士様が教えてくれたぜぇ!お前達薬剤師の免許を持っていないらしいなぁ?」


魔術チーターは紙切れを見せた。


「俺様は魔術学科を優秀な成績で通う奨学金生だぁ!薬剤師の免許なんて簡単に取れたぜ!」


「し、しかし僕たちの店の前で勝ってに店を開くなんて明らかな営業妨害じゃないかっ!」


イケメンチーターも紙切れを見せた。


「露店販売の営業許可証だぜぇ!役所のお姉ちゃんを俺様の超絶魅力スキルでトリコにして、簡単にゲットしたぜぇ、ヒャア!!」


「そんなのインチキじゃないかっ!」


「俺様の魅了スキルが効かない女はいねぇ。だよなあクソガキ?」


イケメンチーターはアミーラにウィンクした。


「失せろ。その美しい頭とやらを蜂の巣にされんうちにな」


アミーラはフランドル衣装のスカートからベルギー製P-90自動小銃そっくりなサブマシンガンを取り出した。


「ふ、どうやらお子様にはイケメンの魅力がわからないようだな。そこのメイドさん」


「え?私ですが?」


イケメンチーターは作治達に続いてアミーラの道具店から出てきたマルレーネに声をかけた。


「俺達と楽しいことをしないかな?」


「お断りいたします」


「アルェー?」


「ああ。この人目が見えないんだ。多分魅了の術とか無意味だと思うよ」


 作治はイケメンチーターに教えてやった。


「くっ、負けだ!」


「たかだがイケメンチーターに勝ったくらいでいい気になるなよ?」


「そうだ。イケメンチーターなど我ら三チーターの中でも最も弱い」


「ほう?では残りのお前達はどの程度強いのかのう?」


アミーラはP-90もどきをフリフリしながら脅迫する。


「俺は金持チーターだ」


「それがどうしたのだ?」


「この街の道具屋という道具屋から薬草を買い占めてやった!そしてお前達の店の前で半額で売る!」


「なん・・・だ・・と?!」


「冒険者はみんなお前達の店の前で薬草だけ買って帰っちまうぜぇ?そしてお前らの道具屋の中には入らねぇ!」


「なああああああああにいいいいいいいいい!!!!!???」


「てめぇらら店はあっという間に閉店だ。ヒャアー!!」


「もうだめじゃあ、おいまいじゃあぁ・・・・」


アミーラは石畳の道路に両手をついて絶望する。


「金持チーターなんかに勝てるわけがない。妾の道具屋は閉店してしまうんじゃぁ・・・」


「ハハハハハハハ!これがチーターの力よ!我々に叶う者などこの世に存在しないのだっ!!!」


勝ち誇りアミーラを引きづるように作治は店内にすごすごと帰っていく。


ぱたし、と店のドアを閉めたのはマルレーネであった。


「あのう、サク様」


「マルレーネさん悪いだけどアミーラさん二階のベッドに運ぶの手伝ってくれない?」


ショックのあまりぐったりとしたアミーラを抱えて作治はそうマルレーネに頼む。


「別にかまわないのですが先ほどのターキー三匹ですか?」


「反則三人組ってちゃんと本名で呼んでやれよ」


「その方々を出し抜けるかもしれません」


「はい?」


作治はひどく間抜けな声を出した。

________________________


 免許証はそれを所持する人物の身分や立場を証明する書類の事である。これらが存在するのは高度に文明の発達した社会である。

 多くの一般的な冒険者ギルドでは『この者が冒険者である』という事を証明する書類を発行してもらえる。

 別になくても構わないが、仕事の斡旋や金銭の授受で支障が発生する場合が多々あるようだ。

 実際、歴史上のギルド組合組織は若いギルド員を育てる職業訓練校的意味合いを持っており、住み込みで弟子を育てたり、ギルドが教員免状に似たような物を発行していたようである。

 それとは別にファンタジー世界には魔法学校というのはどの世界にも掃いて捨てるほど存在する。当然、その学校を卒業すれば卒業証書がもらえるわけだ。

 だが、その魔法学校。魔法学科。魔法大学の『権威』という物を護り続けるというのは実に大変な事なのである。

 授業で聞きかじった魔法を悪用し、街中で暴れまわる不良魔法学校生徒が横行すれば、


「魔法学科を卒業した?ああ。あの不良ばかりのFラン大学のことですか」


 と言われてしまいかねない。

 ファミコン時代のコンピュータRPGには通行証書を所持していないと街や洞窟の入り口を通過できないという事が多かった。キャラクターの移動スペースが一キャラクター分しかなく、そこに警備の兵が配置されており、


「ここを通りたくば王様から通行証を貰ってくるのだ」


と、繰り返すのだ。

 勿論倒すことなどできない。

 他には株券というものがある。

 世界初の貿易会社であり、株式会社である東インド会社。

 株主であれば誰でも社長になることができた。

 株主であれば誰でも株主総会で発言する権利を持っていた。

 そこに人種の区別はなく、イギリス人でもフランス人でもアメリカ人でも関係なかった。

 そこに宗教の区別はなく、キリスト教徒でもユダヤ教徒でもイスラム教徒でも関係はなかった。

 もちろん性の差別もなく、東インド会社の株券を買った者は誰でも株主と呼ばれ、株主総会に参加することが出来た。

 あまりにも民主的だったので、人民評議会と揶揄されていたそうである。

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